八丈島の春に咲く、テンナンショウの花の不思議

植物

八丈島の林道を歩くと、道の両脇に蛇の頭のような形の花を咲かせるテンナンショウが目につきます。キャッチの写真はハチジョウテンナンショウです。

一般に私たちが花と呼んでいる部分は、仏炎苞といいます。仏炎苞の中に見える棒のようなものは、付属体といい、下の部分に小さな花がついています。


今日は、「八丈島の春に咲く、テンナンショウの花の不思議」と題してのお話です。


春になると、地面から緑色で槍のような形のものがニョキニョキと出てきます。はじめは何だかわかりませんが、両側から葉が広がるので、テンナンショウであることがわかります。

ハチジョウテンナンショウArisaema hatizyoense Nakai.
EOS 6D Mark II+EF50mm F2.5 Compact Macro

テンナンショウは野草です。畑で育てられているわけではありませんので、多くの場合、写真のように傾いて出てきます。

下の4枚の写真を見てください。

何か不思議なところはありませんか?葉は地面から垂直に出ています。ですが、花は地面というよりも、むしろ水平面に対して垂直です。

何が花の角度を制御しているのでしょうか?

  • 光でしょうか?光に向かって成長するのであれば、葉も花も同じ方向になります。
  • 春の暖かい気温でしょうか?葉も花も温度効果は均等にかかると思います。

いずれも違うと思います。

  • 重力が制御しているのでしょうか?植物には脊椎動物のような三半規管はありません。
  • 花をもっとも適切に立てるためには、バランスが重要だからでしょうか?

もしそうだとすると、花と茎のつなぎの白い部分(角度の広い部分と反対側の角度の浅い部分)には、いったい何が起きているのでしょうか?

私は研究者を引退しましたが、茎の部分と白い部分からRNAをとってトランスクリプトーム解析(組織で発現するRNA断片の塩基配列を決定し、整列化し、比較をする手法。)をしたら、今までにない植物の形成機構が明らかになるのではないか?と妄想してしまいます。

林道を散策すると、いろいろなことを考えてしまいます。

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