野鳥写真といいますと、通常超望遠レンズを使います。私の場合は焦点距離(換算焦点距離も含む)1,344-200 mmのレンズを使っています。

EOS R3+Mount Adaptor EF-EOS R+EF400mm F5.6L USM
でも、予算の関係で超望遠レンズを購入できないことがあります。また、野鳥が生息する環境を広く撮影したい場合もあります。
その場合は短い焦点距離のレンズを使います。今から30年前、私はリモートコントロールを使った無人撮影でモズを撮影していました。
こちらは手持ち撮影とは全く方法が違いますね。

EOS RT+EF28mm F2.8
私は情報収集をするためにトレイルカメラを仕掛けることが良くあります。過去に天然の水浴び場を見つけ、アカコッコを撮影したこともあります。

ところが、この場所はスペース的に小さなトレイルカメラしか仕掛けることが出来ませんでした。

情報を集めるのみの場所でしたね
私は野鳥と仲良くなってから撮影しますが、それでも人と野鳥には隔たりがあり、限界があります。また、今までとは違う私の限界を超えて新たな撮影に挑戦したいという気持ちも湧いてきました。
今日は、「トレイルカメラによる野鳥へのアプローチ方法を考えています」と題してのお話です。
フィールドへのアクセスを考える
最近、私は野鳥の出現データを集めるためにQGISとQFieldを多用しています。私と野鳥の行動パターンの傾向が浮かび上がってきます。
私は、知人のようにザイルを使って崖を登ることは出来ません。ですので、安全な場所限定でしか移動できません。
また、八丈島は、私有地が90%かつ国立公園ですので、山中にはほとんど入ることは出来ません。
上記の条件を全てクリアした場所を見つけなければなりません。
対象の野鳥について
QGISとQFieldを使うことで、野鳥の出現場所が浮かび上がってきます。そうしますと、時期(繁殖期や季節)、種、異種とのコミュニケーションによる出現の変化が分かります。
ここまで追い込みますと、トレイルカメラを仕掛ける場所がだんだん狭まってきます。
野鳥をよぶ物について
餌を置くことについて
野鳥をよぶ方法として、餌付けがあります。かなり効果的です。
ただ、野鳥の摂食行動を観察していますと、八丈島では一年を通して、ミミズ、チョウ目昆虫の幼虫、各種昆虫の成虫、植物の種子などをシームレスに変えています。
春から秋ならば、幼虫や昆虫ならば動物性タンパク質と植物性タンパク質、炭水化物、脂質、冬は種子から炭水化物や脂質を摂取します。まるで体を作る時期と寒さに耐える時期で意図的に食べ分けているようにも見えますね。
ですので、野鳥の摂食は、動物食ならばミルワーム、植物食ならばヒマワリの種というような単純なものではなさそうです。
また、野生で生きるためには自分で餌を探すことも大切です。
そんなわけで、私は餌付けは写真撮影には効果的ですが、別の手段を選択した方がよいのではないかと考えるようになりました。
水を置くことについて
八丈島は年間3,000 mmの降水量があります。大雨が降りますと、野鳥は水を飲んだり水浴びをするために水たまりに集まってきます。
一年間シームレスに変化する餌を準備するよりは、水浴び場の方が現実的だと思いました。
八丈島の面積は60 km2。狭いようで広いです。
これまで色々な場所に人工の水浴び場を用意したのですが、この方法はとても難しいですね。
たくさんの失敗が蓄積しました。ただ、失敗すればするほどノウハウも集まりますので、このまま水浴び場を試し続けることにしました。
人間には鼻があり、口には下があります。嗅覚と味覚で口に入るものを選別します。
これ、野鳥でも同じです。雨の少ない冬の時期に水浴び場を用意しますと、思ったよりも早く野鳥が訪れます。ところが、夏は一切来ません。
色々確かめてみますと、春から秋にかけては水の新鮮さが重要でした。水をずっと置きっぱなしですと水の質が悪くなり、野鳥も寄り付かなったからです。

失敗は大切ですね

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トレイルカメラの耐久性
八丈島の自然は過酷です。大雨、霧、強風、塩と機械を壊すためのマイナスの条件のオンパレードです。
海沿いにトレイルカメラを仕掛けた時は、カメラとそれを支える三脚は塩まみれになりましたし、森の中ではアブラムシの甘露でベトベトになります。
また、冬は気温が下がりますので、バッテリーの消費も早いです。
いくらトレイルカメラが防塵防滴設計でも限界があることを知りました。

実験は大切ですね

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野鳥に対してトレイルカメラを実際にしかけてみる
データを集め、おかしなところは直ぐに修正と自分の熱意に支えられながら、様々な条件の変化の観察を続けました。
そうしますと、2羽のキジバトが水浴び場を見つけてくれました。

キジバトは八丈島では身近な野鳥です。なんだかんだ言っても、キジバトは人間が作ったものを受け入れるのは早いみたいです。
それでも、今まで無かったものが突然現れたのですから、やはり、周囲は警戒します。

身の安全を確認しましたら、喉の乾きを潤していました。

数日間観察してみますと、水浴び場周辺に3ペアのキジバトが来ていました。今の時期、水浴び場に姿を表すのは必ずペアでした。

そういえば、春先にキジバトが交尾していたっけ・・・
もしかしましたら、八丈島ではキジバトは春に子育てをしているのかも知れません。

EOS 7D Mark II+EF600mm F4L IS II USM+EXTENDER EF1.4xIII
将来はトレイルカメラで色々な野鳥の情報を収集したい
今回は、キジバトの水浴び場での行動を記録できました。この場所ではキジバト以外にヒヨドリ、イソヒヨドリ、ホオジロ、モズも生息しています。
観察を継続して、後者の4種の行動に影響が出るかチェックしたいと思っています。
一方、今の時期、山中ではイイジマムシクイ、シチトウメジロ、タネコマドリ、アカコッコ、トラツグミがいます。こちらは難易度が高いので、結果はすぐには出ないと思っています。

情報は全然足らないですからね

今日は、「トレイルカメラによる野鳥へのアプローチ方法を考えています」と題してのお話でした。
野鳥写真は、通常超望遠レンズを使って撮影します。ですが、リモートコントロールを使った無人撮影ならば、短いレンズでも撮影は可能です。
今回、野鳥が生息する環境を鑑みて、水浴び場の実験をしました。その過程でトレイルカメラの耐久性も情報収集しました。
実践としてキジバトを観察しました。
まだ、トレイルカメラによる野鳥へのアプローチは始まったばかりです。今後色々工夫して、野鳥に迷惑をかけないよう注意して、撮影したいですね。
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