今から3年前に八丈島に来たとき、タネコマドリ、カラスバト、イイジマムシクイ、モスケミソサザイ、アカコッコなどの代表的な野鳥は、すぐに見ることができました。しかし、自然ガイドをするにあたって、植物の方はとても苦戦しました。
元々植物には興味がなかったので、当時は生えている木や草が全部同じに見えました。そのような状態でしたので、職業自然ガイドとして、正確に植物を判別し、説明できる自信がありませんでした。
ちょうどそのときに林道に入りました。すると、変わった葉脈の葉が目に留まり、その映像が記憶に残り続けました。
今日は、「今、八丈島では、変わった葉脈の葉の木が花を咲かせています」と題して、その木を紹介をします
葉の葉脈ってどのような形をしていますか?
葉の中心に一本、そこから左右に同じ場所あるいは交互に葉脈が、葉の縁まで伸びている形でしょうか
そうですね
正しいです
それでは、この葉はどうでしょうか?
葉脈は、葉の中心は同じですが、左右に伸びる葉脈は途中で止まり、くるっとカーブして上あるいは下の葉脈と融合していますね
そう、この葉っぱの葉脈はとても不思議な形をしています。どうしてこんな形をしているんだろう・・・。と考えていたら、記憶に残りました。
5月末から6月にかけての初夏に、八丈島ではいたるところに房状のたくさんの小さな白い花をつけた低木が見られます。その葉を見ると、先ほどの写真と同じものです。
この木はハチジョウイボタといいます。印象的な葉と房状のたくさんの小さな白い花という特徴的な両方を持った植物です。
遠くから見ると木の端が白いふさふさでいっぱいになっています。このふさふさを拡大すると小さな花でびっしりです。
白い楕円形のものはつぼみです。この1房でも次から次へと花が咲き続けられるのは、容易に想像できますね。
「いっせいのせっ」で花を咲かせると、花は一瞬で無くなってしまいます。でも、ハチジョウイボタのようにずらしながら花を咲かせると、悪条件による受粉失敗の機会を回避することができます。
そう考えますと、今、花を咲かせているハチジョウイボタは自然界で生きるために賢い戦略をとっているとも言えますね。
八丈島では、ちょっと歩くだけでも奥深い生物と出会えます。
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