常春の八丈島では、様々な種の旅人(渡り鳥)が冬を越します。当然、冬服(冬羽)です。でも、最近、見慣れた姿がものすごい勢いで変わっていることに気づきました。
今日は、「八丈島に冬服で来た旅鳥のムナグロの衣更えについて」と題してのお話です。
多くの野鳥は、決まったパターンの羽の模様をしています。空飛ぶ宝石のカワセミは翡翠色とよばれる翼と赤いお腹、身近なヒヨドリでしたら全身ほぼ灰色とか。
一方、季節によって姿を変える鳥もいます。カモとかはそうですね。秋頃に最初に来たときは、メスしかいないのに、しばらく経つとオスがどこからともなく出現してきます。
この場合は、オスはもともと群れに含まれています。エクリプスといいます。はじめはオスはメスに似た姿をしていているのですが、のちにオス特有のきらびやかな姿に変化します。
ムナグロの話をします。以前、このブログにも紹介しましたが、秋頃の八丈島にくるムナグロの姿はアイキャッチのような全身金色っぽい姿をしています。
英語ではPacific golden plover(太平洋の金色のチドリ)といいます。そのまんまですね。
なぜ冬羽が金色なのかはわかりませんが、フィールドでは遠くだと石のように見えます。また、枯れた芦原でしたら、その金色のために紛れてしまいます。擬態するためなのかも知れません。
では、なぜ日本語ではムナグロなのでしょうか?
それは、ムナグロは春になると模様が変わり、文字通り、ムナグロになるからです。
ちょうど、姿が変化するのを撮影できましたので、順に見せます。
初期、頭部と顔の羽が黒くなります。頭部と目の間が白い羽に変わります。お腹の羽もまだらですが、黒い羽が出てきます。
お腹の白いまだらの羽がだんだん黒くなります。また、翼の部分とお腹の部分の間に白い羽が出てきます。
顔からお腹にかけてムナグロになりました。頭部から翼にかけての境目の白い羽もほぼ完成しました。
一ヶ月も経たない間に、ものすごい勢いで夏羽になりました。
ムナグロになってしまうと、彼らは八丈島を去ります。少し寂しいですね。
本土の方はお楽しみに。もしかしたら、あなたと出会うムナグロは、八丈島から来たのかも知れませんよ。
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