八丈島で暗闇の恐ろしさを知らない人にならないで

八丈島のフィールド

私は、今でこそ、八丈島で自然ガイドをしていますが、若い頃は都市で育ちました。夜といえども、明かりがあるのは普通です。

人の活動にともない、夜には明かりが灯されます。深夜でも、車、家々、アパート、ビル、コンビニ、外灯など様々な光があります。

全くの闇というのは、あまりありませんね

ですので、光るキノコと出会うまでは、日本で暗闇が怖いと思ったことは一度もありませんでした。

EOS 6D+EF24-105mm F3.5-5.6 IS STM

今日は、「八丈島で暗闇の恐ろしさを知らない人にならないで」と題してのお話です。


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アメリカ時代の夜の恐ろしさ

アメリカ時代、私はカリフォルニア州デービス市に住んでいました。

デービス市は、アメリカでは治安が比較的良く、夜でも窃盗などの犯罪程度ですみます。ところが、その近くの州都のサクラメントになりますと状況は違います。

17:00を過ぎますと、誰もいなかった大学関係の建物の出入口付近に人がす〜っと集まってきます。

多くは、気をつけていないと、入り口から車に移動するまでの間に襲われます。ですので、それを防ぐためにどうやっているかといいますと、お昼休みに車を出入口付近に移動させ、建物から出たら、速攻でエンジンをかけて駐車場から去ります。

ただ襲われるだけならまだいい方で、同じサクラメントでも場所によっては殺人事件も起きます。

え゛っ

ええ、これ、アメリカでは当たり前です

日本は、本当に安全な国だと、海外に出て思いました


八丈島での暗闇の恐ろしさ

八丈島は日本にあります。これだけで、かなり安全です。

居酒屋でお酒を楽しむのもいいですよね


私の場合ですと、光るキノコについての相談がよくきます。そして、みなさま、平らな都市公園感覚で、光るキノコが見られると思われているようです。

もちろん、そのような場所も八丈島にはあります。そういうところならば、問題ありません。

ところが、

自生の光るキノコを見たいんです

と相談されることもあります。確かに、八丈島の地図を見ますと、陸続きですので、なだらかに見えますね。

地理院地図 / GSI Maps|国土地理院
地形図、写真、標高、地形分類、災害情報など、日本の国土の様子を発信するウェブ地図です。地形図や写真の3D表示も可能。

ところが、地図では見えない崖だけでなく、50 cm以上の段差はいたるところにあります。

たった50 cmでしょ?

大したことないよ

そう思っているのは、あなたが本当の暗闇を知らないからです。

光るキノコを見つけるためには、完全に真っ暗でなくてはいけません。

想像するために、夜、部屋の電気を消して、さらに目を閉じて下さい。そんな感じの世界を歩き続けることになります。

都会は平らですが、八丈島のフィールドは、山道であっても、不規則な凸凹道です。少しの段差で、転んだり、足をくじいたりします。

そして、不意打ちで、50 cmの段差を落ちるだけで、足の骨折は簡単に起きます

50 cmはまだ序の口で、八丈島には地図には載っていない絶壁はいたるところにあります。

これを知っているのに、自生の光るキノコ見せるために、安易にお客様を案内できますでしょうか?

普通の人にはハードルは高すぎますし、たとえ道を知っていたとしても、凹凸の位置を忘れて不意打ちを食らうことがあります。

いくつかの幸運が重なり、光るキノコを見せるために、私もお客様をご案内することがあります。そのときは、明るいうちから現場を見せ、危険箇所をチェックしてもらいます。

そして、だんだんと暗くなり、見る上で一番安全な個体を見せます。

人は夢中になると危険性を忘れてしまう動物です。一定時間を過ぎましたら、踏み込みすぎないように観察を終わらせます。


光るキノコの写真・動画は、今では、色々な媒体で見られます。しかし、それらを撮影するために、たくさんの安全対策をしています。

骨折だけでなく、死につながりますので、ぜひとも、八丈島の夜に出かけるのは安全な場所限定で、そして、暗闇の恐ろしさを知らない人にならないよう、注意して下さい。

EOS 6D+EF16-35mm F4L IS USM

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