私は、今でこそ、八丈島で自然ガイドをしていますが、若い頃は都市で育ちました。夜といえども、明かりがあるのは普通です。
人の活動にともない、夜には明かりが灯されます。深夜でも、車、家々、アパート、ビル、コンビニ、外灯など様々な光があります。
全くの闇というのは、あまりありませんね
ですので、光るキノコと出会うまでは、日本で暗闇が怖いと思ったことは一度もありませんでした。
今日は、「八丈島で暗闇の恐ろしさを知らない人にならないで」と題してのお話です。
アメリカ時代の夜の恐ろしさ
アメリカ時代、私はカリフォルニア州デービス市に住んでいました。
デービス市は、アメリカでは治安が比較的良く、夜でも窃盗などの犯罪程度ですみます。ところが、その近くの州都のサクラメントになりますと状況は違います。
17:00を過ぎますと、誰もいなかった大学関係の建物の出入口付近に人がす〜っと集まってきます。
多くは、気をつけていないと、入り口から車に移動するまでの間に襲われます。ですので、それを防ぐためにどうやっているかといいますと、お昼休みに車を出入口付近に移動させ、建物から出たら、速攻でエンジンをかけて駐車場から去ります。
ただ襲われるだけならまだいい方で、同じサクラメントでも場所によっては殺人事件も起きます。
え゛っ
ええ、これ、アメリカでは当たり前です
日本は、本当に安全な国だと、海外に出て思いました
八丈島での暗闇の恐ろしさ
八丈島は日本にあります。これだけで、かなり安全です。
居酒屋でお酒を楽しむのもいいですよね
私の場合ですと、光るキノコについての相談がよくきます。そして、みなさま、平らな都市公園感覚で、光るキノコが見られると思われているようです。
もちろん、そのような場所も八丈島にはあります。そういうところならば、問題ありません。
ところが、
自生の光るキノコを見たいんです
と相談されることもあります。確かに、八丈島の地図を見ますと、陸続きですので、なだらかに見えますね。
ところが、地図では見えない崖だけでなく、50 cm以上の段差はいたるところにあります。
たった50 cmでしょ?
大したことないよ
そう思っているのは、あなたが本当の暗闇を知らないからです。
光るキノコを見つけるためには、完全に真っ暗でなくてはいけません。
想像するために、夜、部屋の電気を消して、さらに目を閉じて下さい。そんな感じの世界を歩き続けることになります。
都会は平らですが、八丈島のフィールドは、山道であっても、不規則な凸凹道です。少しの段差で、転んだり、足をくじいたりします。
そして、不意打ちで、50 cmの段差を落ちるだけで、足の骨折は簡単に起きます
50 cmはまだ序の口で、八丈島には地図には載っていない絶壁はいたるところにあります。
これを知っているのに、自生の光るキノコ見せるために、安易にお客様を案内できますでしょうか?
普通の人にはハードルは高すぎますし、たとえ道を知っていたとしても、凹凸の位置を忘れて不意打ちを食らうことがあります。
いくつかの幸運が重なり、光るキノコを見せるために、私もお客様をご案内することがあります。そのときは、明るいうちから現場を見せ、危険箇所をチェックしてもらいます。
そして、だんだんと暗くなり、見る上で一番安全な個体を見せます。
人は夢中になると危険性を忘れてしまう動物です。一定時間を過ぎましたら、踏み込みすぎないように観察を終わらせます。
光るキノコの写真・動画は、今では、色々な媒体で見られます。しかし、それらを撮影するために、たくさんの安全対策をしています。
骨折だけでなく、死につながりますので、ぜひとも、八丈島の夜に出かけるのは安全な場所限定で、そして、暗闇の恐ろしさを知らない人にならないよう、注意して下さい。
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