8月も終わりになりました。まだまだ気温は暑いですが、9月に入り、八丈島の季節は徐々に変化が感じられるようになりました。
私は山側で過ごしていますが、格段に涼しくなってきました。人が環境の変化を感じられるということは、そこに生息する生き物はもっと影響を受けます。
今日は、「9月の八丈富士で見られる身近な花」と題してのお話です。
「八丈島」「花」で検索すると、フリージア、ハイビスカス、ブーゲンビリア、ストレチアが出てきます。全て綺麗な花をつける園芸植物ですね。
先日、八丈高校で「八丈学」という授業を見学させていただきましたが、学生さんたちも真っ先に「フリージア、ハイビスカス、ブーゲンビリア」が出てきました。八丈島を真面目に考える授業でびっくりしました。
私はフィールドの活動が中心ですので、野草の方に偏ります。八丈富士に行きますと、意外な身近なところに、花はあるのだということに気が付きました。
では、順に見てみましょう。
初めは、ハチジョウイタドリ。
ちょっと前までは、何もなかったところに、ニョキニョキとクリーム色の数珠が目立ってきました。これはハチジョウイタドリの蕾なのです。
よ~く見ますと、この写真にはハチジョウイタドリの蕾と花が見られます。
春は八丈島の中心街のある坂下側から花が咲きます。それは、ふもと側の方が暖かいからです。
でも、夏は逆のようです。夏の暑さにじっと耐え、涼しくなって適温になると花が咲きます。
ですので、山側から花が降りてくるような感じになります。ハチジョウイタドリはそれにマッチした植物なのでしょう。
次はキンミズヒキ。
すっと伸びた茎に小さな黄色い花がたくさんついています。
私は、キンミズヒキは三原山で最初に見ました。
そのときの花の状況、生えた場所、葉の形をスマホで記録しておきました。家に帰ってから図鑑と比較して、キンミズヒキと同定しました。
一度自分で同定できると、あとは次から次へと見つけられます。八丈富士の道路周辺にもたくさんありました。
花の形はいろいろあります。種に依存した様々な生き様があるんですね。
次はオトコエシ。
小さな白い花がびっしりと咲いた花です。この花にはたくさんのアシジロヒラフシアリが花蜜を集めていました。
アリはハチ目の昆虫ですので、ハチのような行動をします。
写真では鮮明に写っていませんが、中程の若干左下に写っているア2頭のアリ、何をやっていますね。
これは「口移し(栄養交換)」行動です。英語ではtrophallaxisといいます。
最後はとっておきの植物です。ナンバンギセルといいます。
この毒々しい赤紫色の花。
何かおかしなところがありませんか?
葉がないような・・・
そうです
この植物、葉がないんです
でも、植物って葉で光合成しますよね
栄養はどうしているんですか?
このナンバンギセルは、栄養を他の植物からもらって生きています
寄生植物に分類されます
上記の3種の花を見ていたら、足元の緑の中に赤があったので、気付きました。寄生植物は文字では知っていたのですが、実際に見ると違和感の塊です。
植物=緑とか、葉=光合成とか、知らず知らずのうちに知識の先入観が刷り込まれていたのですね。
今の時期、ハチジョウススキは花をつけるためにとてもよく成長しています。ナンバンギセルは、ハチジョウススキが今の時期に爆発的に生み出す栄養のおこぼれをいただいているのでしょう。
人生いろいろですが、植物もいろいろなのですね。とても勉強になりました。
今日紹介した植物は、八丈富士で身近に見られます。八丈富士登山、ふれあい牧場で過ごしたら、休憩がてら散策してはいかがでしょうか?
おすすめです。
PR