春になると現れる黒い奴とその対策について

生活

八丈島もだんだん暖かくなってきました。ハチジョウテンナンショウシチトウスミレハチジョウクサイチゴの花もちらほら見られるようになってきました。

虫も出てきました。毛むくじゃらのクワゴマダラヒトリの幼虫も歩いています。

八丈島では、この季節からたくさんの黒い奴が家の中で大量発生します。安心してください。ゴキブリではありません。

体調2.5 mmの小ちゃなアリ(蟻)です。アシジロヒラフシアリといいます。

彼らは八丈島の外から侵入した外来種と言われています。八丈島では、家屋への侵入や壁の中の電線の断線に関わる嫌われ者です。

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どうすれば家の中に入らないようにできるのか?

島民はよく話します。

今日は、「春になると現れる黒い奴とその対策について」と題してのお話です。

この記事を読んでいるみなさんは、アシジロヒラフシアリはアリだから、その生態として、地中に巣を作ると考えているかもしれません。

でも、彼らはそうではありません。例えば、ビロウ畑の地面の枯葉をひっくり返してみてください。たくさんのアシジロヒラフシアリが見つかると思います。卵や蛹も見つかるかもしれませんね。

そう、彼らの巣は地上です。ちゃんとした巣は作りません。

では、なぜビロウ畑に巣を作っているかというと、暖かくなるとビロウの葉にアブラムシの仲間が付きます。彼らはアブラムシの仲間から甘露をもらって生活します。

たまに、ビロウ畑で発生したヤコウタケを食べたりもします。

ヤコウタケを集団で食べるアシジロヒラフシアリTechnomyrmex brunneus
EOS 6D+EF50mm F2.5 Compact Macro+Life Size Converter EF

ですので、巣の本体は私たちの「家の中」ではなく、「家の外」です。そして、彼らの集団の一部が家にたまたま侵入し、私たちと出会うのです。

生き物は自然発生はしません。アリの場合は行列を作っていますね。行列の形成はアリのおしりから出る道しるべフェロモンによって制御されています。逆に言えば、この道しるべフェロモンを無くしたら、アリの行列は無くなります。

家の外側の壁にできたアシジロヒラフシアリの行列
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そこで対策です。1日一回家の周りをパトロールしてください。家の壁あるいは土台にアリの行列を見つけたら、アリ用の殺虫剤か、または、いらなくなった洗剤を薄めてスプレーしてください。目的は行進するアリの数を減らすことです。それは、道しるべフェロモンの濃度を下げることにつながります。毎日続けていくと、アリは家の中へ入らなくなり、最後は来なくなります。

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注意!ペットと一緒にいる方は使用量に気をつけてください。アリ殺虫剤は、昆虫の神経の活動を阻害する効果があり、脊椎動物には効きにくいのですが、大量散布はダメです。

私は八丈島で一軒家とアパートの両方を経験していますが、この方法でアリの家の中への侵入を防いでいます。一年でたまに見るくらいです。

かかる経費を気にしなければ、大量に殺虫剤を撒けば、アリを完全に死滅させることは技術的には可能です。しかし、個人的には反対です。理由は、八丈島では6月の末から7月の初めにかけてシロアリが飛ぶからです。家を守るためにも、ある程度の数のアリに待機してもらった方がいいのです。シロアリがいなくなったら、駆除に力を入れてもいいかもしれません。

先にも書きましたが、アシジロヒラフシアリの集団の本体は家の外です。家への偶発的な侵入を防ぐことで、アリと人の環境に配慮した住み分けができると私は思っています。

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