八丈島は、形成時期の異なる三原山と八丈富士の2つの火山から構成されており、小さな島にも関わらず多様な地形、植物、動物が生息しています。
そのおかげで私たちの身近な生活圏でも様々な種類の植物が見られます。
私は、身近な生き物が少しずつ変化するのを観察するのが大好きで、八丈島の世界に魅了されてきました。
台風22号による被災で、八丈島の地形は大きく変わりました。三原山も八丈富士も倒木や土砂崩れで行けなくなりました。
この倒木と土砂崩れは麓の私たちの生活圏の直ぐ側まで来ています。災害後は、私が観察していた身近な植物と出会えなくなったり、例年とは全く異なる生長が見られるようになりました。
今日は、「2025年10月9日前後の東京都八丈島の身近な植物の様子」と題してのお話です。
ノコンギク
秋の八丈島はノコンギクの季節です。山側から開花が始まり、徐々に麓まで花が降りてきます。
植物に疎かった私は、花というものを理解していませんでした。花は同時に開花するのではなく、時間をずらして順番に開花します。
私が見つけたノコンギクは最初の花を開花していました。これを時間を追って観察すれば、開花から萎れるまで全ての命の営みが見られます。
この場所は身近なところにありました。しかし、斜面の位置が悪かったため、土砂崩れと倒木で、行けなくなりました。

EOS 6D Mark II+70mm F2.8 DG MACRO Art
ハチジョウイタドリ
遠くから見ますと、ハチジョウイタドリはクリーム色の花を2回付けるように見えます。実際には花と種です。
私が見つけたのは成熟中の種。この個体をマークしており、どのように種が変わっていくのか興味を持っていました。
この場所は風通しの良い場所でした。行けるようになってから、確認しましたが丸坊主になっていました。

EOS 6D Mark II+EF50mm F2.5 Compact Macro
ツルソバ
研究をやってきたせいか、私は物事をシンプルに考えがちです。例えば八丈富士ならば円錐形。
しかし、この地球にはそのような形は存在していません。必ず凹凸があります。
そして、小さくてもその凹凸が意外な役割を果たすことがあります。
台風22号が通過し、安全になってから身近なところを歩きますと、たくさんの倒木、枝葉をもぎ取られた植物がたくさん見ました。
部分的ではなく八丈島全体でこのような風景が見られたことから、風速がいかに速かったのか数字だけでなく体感できます。
では、全ての植物の生命活動を奪ったかと言いますと、例外がありました。
足元を見ますと白い花が目に入りました。ツルソバの花です。
良く見ますと、風が当たりにくい凹んだ場所に生息していました。

iPhone 15
ウスベニニガナ
八丈島では複数のピンク色の花を付ける植物が見られます。ウスベニニガナといいます。
地表では意外とメジャーです。一度見つけますと、同じエリアにたくさんの個体があることに気が付きます。
私の身近なフィールドでも、ウスベニニガナは良く見られました。
台風22号の通過後、ようやく行けるようになりました。しかし、そこにはウスベニニガナどころか、荒廃した残骸しかありませんでした。

北東の潮風にさらされて、別世界のようでした
しかし、その荒廃した土地でもピンクの花が見られました。私のフィールドでは大部分は消失してしまいましたが、ウスベニニガナの数個体が見つかりました。
わずか1日で変わった世界。タイミング良く蕾の状態で被災を避け、その後開花したようです。

EOS 6D Mark II+70mm F2.8 DG MACRO Art
アカメガシワ
八丈島では、春になりますと、赤い花を付ける木があります。本当は赤い花にように見える新芽です。

この木はアカメガシワと言います
八丈島は本土に比べて温かいのですが、アカメガシワは冬になりますと葉を全て落とします。今は秋ですので、アカメガシワは冬対策の準備中でした。
ところが、台風22号によって葉を取られ、あるいは、残っているのが痛めた葉ばかりですと、アカメガシワは新しい葉と入れ替えようとします。
折れた中、生き残ったアカメガシワを見つけました。良く見ますと赤っぽくなっていました。
新芽が出ていました。発育時期が揃っていることから、葉が奪われた直後に同時に葉芽を生長させたようです。
しかし、これからは冬になります。今、新しい葉を出してしまいますと、春以降に足りなくならないのでしょうか?
台風22号は、来年の春のアカメガシワにも影響を与えるかも知れません。

EOS 6D Mark II+70mm F2.8 DG MACRO Art
今日は、「2025年10月9日前後の東京都八丈島の身近な植物の様子」と題してのお話でした。
三原山と八丈富士は、倒木や土砂崩れで行けなくなりました。この影響は麓まで来ており、身近な場所であっても同じです。
台風22号の被災前後、ノコンギク、ハチジョウイタドリ、ツルソバ、ウスベニニガナ、アカメガシワの様子を紹介しました。
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