2025年7月14日、台風5号が八丈島に最接近しました。気圧の変化で見ますと、午前6時くらいが最接近でした。

台風と聞きますと大災害のような印象を受けますが、今回の台風は八丈島近くを通過するときには風は弱く、被害のコースも外れていました。昼間もそれほど風雨が強くありませんでしたね。
それでも当日の7月14日は、風とうねりの影響で、八丈島着の東海汽船の定期便とANAの3便は欠航となりました。
さて、私は日本全国だけでなく、海外も住んだ経験があります。特に国土の広いアメリカのカリフォルニア州の日本と違って天気はずーーーーーーーっと同じでした。
誰でも

明日の天気は晴れ
と予報が出来ます(笑)。
日本は島国ですので、カリフォルニア州と比べますと天気は変わりやすいです。それでも広い陸地や森林の影響で、八丈島のような小さな島よりはずっと変化はマイルドなのです。
今日は、「本土と違った八丈島の面白い気象の変化について」と題してのお話です。
台風5号は八丈島から去ったけれども、船も飛行機も欠航しました
今日は2025年7月15日。気圧の変化から分かるように台風5号は八丈島から去りました。

ところが、風は今の方が強いです。


風は大したことないような・・・

飛行機は大丈夫じゃない・・・?
と思うかも知れませんが、ここでは真南の風向が重要になってきます。
八丈島空港は八丈富士と三原山に挟まれた比較的平地な場所にあります。ただ、滑走路は東北東ー西南西に広がっています。

もう分かりますね。真南から風が吹きますと、飛行機がどちらの滑走路から入っても煽られます。
そして、風速は一定ではなく、瞬間的に速く(強く)なることもあります。
このような理由で今日のANAの全便は安全のため欠航となりました。
風が強くなるとうねりも大きくなります。東海汽船の定期便も欠航となりました。
波のため中之郷(藍ヶ江)漁港も通行止めとなりました。
このブログを書いている時点で、明日(2025年7月16日)八丈島着の東海汽船の定期便の欠航が決まりました。
陸地が小さいと気象の細かな変化でも影響が受けやすいです
八丈島は1周60 km、面積70 km2の小さな島です。もう少し小さい島ですと八丈島から4 km離れた八丈小島がありますので、こちらを例に取ります。
天気の良い時、八丈小島は青い空のもと凪いだ海に浮かんでいます。この写真は初夏に撮りましたが、海岸沿いの削れた崖と海岸線から標高100-200 m上からの緑のコントラストが綺麗ですね。

観光では一度は見たい姿ですね

これが梅雨になりますとこんな感じ。
上述の同じ場所から写真を撮っていますが、八丈小島がどこにあるのか分かりません(笑)。本土の平地でしたら4 kmは見えるかも知れませんが、八丈島では気象の影響を強く受けますとこういう現象は普通に見られます。

梅雨と夏の中間になりますと、こんな感じ。
八丈小島の海岸線を見ていただくと分かると思いますが、若干白くなっています。これは気温の上昇により海から水が蒸発している瞬間です。
ですので天気は良いですが湿度は高いです。
湿度の高い空気は上昇に従って冷やされ、雲が発生します。その境は標高250 m。初夏の八丈小島とは大きく異なる景色を見せてくれます。

真夏になりますと、八丈小島の周辺は日本の小型版の気象が見られます。
垂直に伸びる大きな雲が積乱雲。これが大きくなって回転し始めるのが熱帯低気圧。さらに勢力が強くなったのは台風です。
八丈小島を眺めていますと、積乱雲とはちょっと違うような雲が見られることがあります。
左側の濃い灰色で海に注いでいるのが強い雨。その上空には積乱雲があるのですが、さらに周囲の雲がその中心に集まっています。

積乱雲から少し熱帯低気圧になったような規模の小さい雲です
八丈小島の大きさと比較しますと、この雲からわずか直径3 kmのエリアで雨を降らします。
本土では色々な影響で見にくい現象も、遮るものがない八丈島では小さな気象の変化がそのままの状態で見られます。

この晴れと雨の境に行ってみたくありませんか?私は小さいころに何度も思いました。
中間に立っていたら、晴れから突然雨になるのかと・・・。
本土ではそのような現象はなかなか出会えませんが、つい最近、体験することが出来ました。
八丈島で海を観察していましたら、雨の境目が見えました。
私が立っている場所は雨は降っていません。ですので、陸地も海もクリアです。
一方、横間ヶ浦付近を見ますと、突然灰色になっています。これ、Photoshopによる写真の合成ではありません。実際に私の視線の向こう側から雨の境が向かってきているのです。
このあとどうなるかずっと立っていましたら、雨なし>霧雨(短い時間)>大雨の順に変化しました。
体の右半分は濡れて左半分は乾いているということは、さすがに起きませんでした(笑)。でも、10 mくらいの距離で2人の人が話していたら、片方は傘が必要で片方は傘が不要というおかしな現象は起きそうでした。
こんな気象の変化が起きるのも、小さな八丈島や八丈小島ならではかも知れませんね。

今日は、「本土と違った八丈島の面白い気象の変化について」と題してのお話でした。
台風5号の八丈島への接近とその後。小さな島ならではの面白い気象の変化についてお話しました。
「八丈島で天気が悪い≠見るものがない」というのは、目にフィルターが掛かっている証拠。
教科書では「地球の水の循環」と書かれてあるかも知れませんが、八丈島はその文字情報の足らない意味を教えてくれる土地だと私は思います。
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