今日は、知り合いの温室に入る機会がありました。温室なので、中はぽかぽかです。
ぽかぽかですと、きっと黒いアレがいるのではないかと思ったら、やっぱりいました。
今日は、「春の東京都八丈島で見られるアシジロヒラフシアリの行進とアリにまつわる話」と題してお話です。
うちのアパートにも久しぶりにアシジロヒラフシアリの行進が見られました
大行進というより、中行進くらいでした。夏の時期に比べて、動きは鈍かったです。
アリは変温動物です。活動の活発さは温度に依存しますので、今の時期はフルパワーで活動することはできません。
八丈島から発信されるTwitterではアリの報告があがってきました
八丈島では、アシジロヒラフシアリは、戸建ての家だけでなく、アパートの2-3階でも、部屋の中に入ることができます。昨年の夏〜秋はうちのアパートでも大行進が見られました(笑)。
最近見られるアリは、私は、冬ごもりの集団からと思っていたのですが、今日は外を歩いているアリもいましたので、部屋で見られるアリは、もしかしたら両方由来かも知れません。
私の部屋は、夏から秋にかけてずっと対策をし続けていましたので、アリは出ていません。対策は下記の記事になります。
そんなに大変なことはやっていません。私が部屋に入る前はどうだったかといいますと、内見のときに見ましたが、しっかりとアリが入っていました(笑)。
アリは、食料と水が重要です
どこどこだからアリが来るという訳ではありません。
対策をしなければ、平等にアリは入ってきます
アシジロヒラフシアリと電気の関係
アリと顔を合わすくらいならまだいいのですが、一番困るのはボヤですね。これは、アリが感電死することで起きます。
でも、どうしてアリは電線の近くにいるのでしょうか?
これまで書いてきたように、アリは何も対策をしなければ部屋に入ります。部屋に入るということは、当然、壁の中に住んでいるということです。
壁には電線が入っています。でも、電線は、剥き出しではなく、銅などの芯線をビニルやポリエチレンなどの被覆で覆っていますね。
アリの行進は何が原因だったでしょうか?
道しるべフェロモンでしたね
八丈島でアシジロヒラフシアリの行動を観察していると、
- 気温30℃以上でも行進をする。
- 雨の日の次の日は、すぐに行進を開始する。
- 洗剤が少量入った水をスプレーすると来なくなる。
このことから、道しるべフェロモンは、
- 熱に安定。
- 水には溶けない。
- 界面活性剤に吸収されて流される。
という性質があると言い換えられることから、疎水性(水と親しくない性質を持つ)で、30℃くらいの温度では失活しない安定な化合物であることがわかります。
疎水性ということは、アリが壁の中でランダムに歩いても、電線の疎水性のビニルやポリエチレンの被覆と強力に付き、かつ安定ですので、そのまま残るということです。
そのために、アリは電線に沿って歩くのです
でも、火を吹いたコンセントを開けてみると、たくさんのアリが黒くなって死んでいますよ
やっぱり電気がアリを集めたのではないですか?
実は、電気はアリを引き寄せていません。私の知り合いの先生の論文で発表されています。
はじめに1頭の働きアリがコンセントの剥き出しの銅線のところで感電死します。感電すると筋収縮しますね。
このとき、集合フェロモンと警戒フェロモンを同時に放出します。他の働きアリは、巨大な敵が来たと間違って判断します。
そして、呼び寄せられた働きアリが、巨大な敵と勘違いしながら、次々と銅線に噛み付いて感電死し続けます。これが、最後にはボヤとなるわけです。
詳しくは、アリはRed Imported Fire Antですが、下記の論文に書かれています。
Vander Meer, R. K., et al. (2002) Semiochemicals Released by Electrically Stimulated Red Imported Fire Ants, Solenopsis invicta. Journal of Chemical Ecology, 28, 2585-2600.
アリは、対策をきちっとすれば、屋内へ入ってきません(3箇所で成功しています。)。
一度入ってしまったら、アリはすぐには出ていきません。でも、大量の食料を必要としますので、1年の中で必ず出ていく時期があります。
そのタイミングを見計らって、対策を始めれば、来年の今頃はきっとアリと顔を合わすことは無いと思います。みなさんが、アシジロヒラフシアリと人は棲み分けできることを願っています。
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