八丈島には10-14歳の子供たちは、男性140人、女性134人住んでいます。
274人÷5学年(小学校4-6年生〜中学校1-2年生)=54.8人
と単純計算しますと、すべての子供たちを集めても、各学年、本土の学校の2クラス分しかいません。
https://www.town.hachijo.tokyo.jp/toukei-siryou/pdf/01_jinko.pdf
それでも、おかげさまで、八丈島の有志の子供たちに全国レベルの科学コンクールの努力賞を受賞させることができました。
参加賞以上のもの(応募総数72,867点で各賞の総数521点。上位0.7%に当たります。)でしたので、私にリクエストしてくれた方も結果に満足されたようです。
でも、今回の経験を振り返ってみて、
こういう賞があったらいいなぁ・・・
と思うことがありました。
今日は、「私がのぞむ子供向けの科学コンクールについて」と題してのお話です
研究テーマの見つけ方
研究のテーマは、新規性・オリジナリティーが最も評価されます。そこから始まって大きな研究分野となります。
新規性・オリジナリティーが重要なのはわかりました
でも、どうやってそれを見つけたら良いでしょうか?
そんな方法があったら教えて下さい
そんな無責任でいいんですか?
冗談抜きで、新しいことなので、本にも論文にもどこにも書いてありません。本当にテーマの見つけ方は分からないのです。
ちなみに、私の見つけ方は、実験中に起きた新しい現象に、偶然気づくことでした
研究の「はじめの一歩」はお金がかからない
今の生物学関連の研究ですと、分子生物学が主流です。
PCRとかゲノム配列の決定とか聞いたことがあります
でも、分子生物学関連の研究をするためにはお金がかかります
理系の大学の授業料は高い傾向があるのは、そのためなんですね
ただ、研究の一番初めの一番初め、「はじめの一歩」は、実は、そんなにお金はかかっていないんですよ
体内時計というのを聞いたことがあるでしょうか?簡単にいいますと、真っ暗な中でも、日常の行動サイクルが維持されることですね。
神経系のある多細胞生物では、キイロショウジョウバエの研究が有名です。
あの研究の初期の頃はとても面白いです。研究者たちは、暗闇でのショウジョウバエの動きを検出するため、赤外線で自動的にカウントする装置を自作しました。さらに、カウントにはエラーがつきものでしたので、そのノイズを削減するソフトも開発しました。
思いつきと行動で、まるで小学生の自由研究みたいなノリです
このあとどうなったかといいますと、研究は行動から分子機構の解明に進み、ご存知かもしれませんが、ノーベル賞受賞テーマとなりました。
子供たちには、無から有を生み出す癖をつけてもらいたい
研究のはじめは、偶然の発見や、小学生レベルの自由研究のようなものです。そんなにお金はかかりませんし、洗練されたものではありません。
日本の科学教育のグローバル化といわれています。どのようにしたら、その言葉が実現できるでしょうか?
私は、子供たちに「研究の一番初め」をできるだけ多く経験させることだと思っています
そうすれば、無から有を自然と生み出せるようになると思います。
科学コンクールは、子供たちのモチベーションを上げますね。このコンクールにある制限をつけたらどうか?と思っています。
それは、「研究にかかった総額は小学生のおこづかい以下」です。
お金がないという制限があるからこそ、子供たちは、頭を捻り、たくさん工夫するはずです。創造性の高い研究の初期を、若いうちから、たくさん経験させるのです。さらに、少額ではありますが、研究費のマネージメントも兼ねています。
このトレーニングで育った子供たちは、研究の世界に入った頃には、研究テーマの発見、研究費のマネージメントは息を吸うようにできる人になっているのではないでしょうか。
今回の科学コンクールで八丈島の子供たちが受賞しました。私にとっても、色々と考えさせられるいい学びの機会になりました。