人 vs ゴキブリ ーささやかな駆除対策ー

動物

私は、チョウ目、ハエ目、コウチュウ目、ハチ目、ゴキブリ目の昆虫を研究してきました。生物化学、分子生物学、化学生態学が主な研究分野で、解剖や磨りつぶしの実験ばかりしていました。

研究を離れてからは、今はまるごとの昆虫を見ています。


先日、家でワモンゴキブリと出会いました。長い触角、平らな体、生きるために見事な構造をしていますね。


今日は、「人 vs ゴキブリ ーささやかな駆除対策ー」と題して、私とゴキブリの棲み分けまでの小さな戦いについてのお話です。


ゴキブリの話ですが、安心してください。今回は写真は出てきません。

ここに出てくるゴキブリは、正式にはワモンゴキブリPeriplaneta americanaといいます。成虫は、体長4 cmくらいなので、けっこう大きいですね。

ゴキブリが好きな人、嫌いな人といますが、嫌いな人の方が多いでしょう。

八丈島に限らず、世界中どこでも、ゴキブリは野外で生息しています。たまたま居心地のいい場所を見つけたら、私たちの家だっただけです。


完全駆除は難しいです。私の家では出会わないように、数を減らす試みをしました。

初めに、何もする前の家での目撃分布はこんな感じでした。

部屋の見取り図とゴキブリが出た場所

ゴキブリは玄関の外で目撃されているように、部屋の外からやってきます。

ゴキブリが目撃される部屋には、偏りがありますね。左上の部屋にはまったく出ません。

台所と風呂場は水がありますので当然ですね。右上の部屋ですが、なぜか来ます。

ゴキブリの侵入経路はどこでしょうか?


ある日、オオチョウバエClogmia albipunctatusを駆除するために、お風呂場をカ(蚊)用のスプレーをしました。

オオチョウバエが見られた部屋

最近では、殺虫剤はいろいろ使用用途が分かれていますね。殺虫剤にはピレスロイド(pyrethroid)誘導体が含まれており、節足動物の神経系に作用して神経伝達を阻害します。

薬剤の投与量は、受ける側の個体の体重によって決められています。ですので、ピレスロイド誘導体の量は、体の軽いカ(蚊)用は少なく、体の重いゴキブリ用は多く含まれます。

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スプレーの結果、オオチョウバエは出なくなりました。


そして、副産物として、動きの鈍ったゴキブリが見つかりました。

見つかった場所はお風呂場と右上の部屋でした。

動きが鈍いゴキブリは風呂と右上の部屋から確認された

先ほどカ(蚊)用のスプレーには、ピレスロイド誘導体の量は少なく含まれていると書きました。動きが鈍ったゴキブリは、スプレーの中途半端の効果と推察しました。

そう考えれば、ゴキブリの侵入経路はこうなります。

調べてみると、お風呂場の外側の壁にはメーター類を収める引扉がありました。機密性が低い場所ですので、ゴキブリは、玄関から入るより、こちら側の方が簡単そうです。

ここまで侵入経路が分かれば、あとは簡単です。私の家の場合は、


  1. お風呂場にカ(蚊)用のスプレーをします。
  2. 部分的にスプレーの影響を受けて動きが鈍くなったゴキブリを状況に応じて対処します

これだけで、ゴキブリと顔を合わす回数は激減しました。ささやかな駆除ですが、一応、屋外のゴキブリと住み分けができました。


田舎暮らしですので時間はたっぷりあります。観察して、証拠集めて、仮説を立てて、実験をして、結果を見て、考察する。楽しい時間を過ごしています。

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