本土あるいはアメリカに住んでいたときは、徒歩あるいは自転車で10分くらいの場所と、研究機関のすぐそばに住んでいました。
そのような場所は、たとえ田舎であっても、あまり昆虫はいませんでした。
八丈島は自然がとても豊かです。野鳥は様々な種類が住んでいますし、ニホンイタチは道路を横切ります。
これだけの脊椎動物が住んでいますので、そこにはその餌になる生き物が、当然、住んでいます。
今日は、「八丈島に住んで、昆虫が身近になりました」と題してのお話です。
昆虫は研究していたけれども、分類は専門ではありませんでした
私の一番有名な仕事は、昆虫の匂い受容分子機構の研究でしょうか。その研究のために、昆虫の形態学、生理学、生物化学、分子生物学、免疫組織化学、化学生態学の分野を得意としていました。
そう、分類学は専門外なのです
ただ、学生時代にフィールドトラップで捕まった試料の分類のお手伝いをした経験がありますので、昆虫の〇〇科くらいまでは、だいたいですが、分かります。
でも、昆虫は150万種いるといわれていますので、この程度の同定力では話になりませんね。
八丈島の生活圏には様々な昆虫がいます
八丈島では、家のドアを開けてから駐車場へ行くまでのわずか100 mでも、様々な昆虫と出会えます。
アオドウガネ
アオドウガネは、少し変わった昆虫です。
ドウガネは漢字で「銅鉦」。銅の色をしているはずなのに、色は緑色です。
このアオドウガネにフラッシュを当てて撮影すると、あら不思議、銅色に変わります。これは円偏光が原因です。
話には聞いていたのですが、初めて見たときは驚きました。
サトクダマキモドキ
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黄色い目が印象的な、キリギリスの仲間です。秋ぐらいになりますと、顔を合わす昆虫です。
八丈島に来る前は、実験室にこもりっきりでした。身近にサトクダマキモドキがいるのに気づいたときは、びっくりしました。
トゲナナフシとハチジョウトガリナナフシ(?)
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ナナフシといいますと、枝に擬態する昆虫ですね。メスの割合がとても多い昆虫としても有名です。
私は、森の中でしか出会えないと思っていました
ところが、八丈島に住んでいますと、トゲナナフシやハチジョウトガリナナフシ(?)と出会う機会が増えます。ドアを開けて少し歩きますと、地面や壁にいます。
擬態しているつもりなのか分かりませんが、人工物を背景にしていると違和感をおぼえますね
オオミズアオ
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オオミズアオは、ヤママユガの仲間です。英語ではLuna moth(月のガ)といいます。
オスメスの見分け方は、触角で見ます。オスはうちわ状の触角で、メスは小さいです。
ですので、写真の個体はオスです。
蛹から羽化したあと、ガは、しばらくの間、翅を伸ばし、固まるまでじっと待ちます。
実は、この瞬間がとても危険で、捕食者に狙われやすかったりします。残念ながら、うちの周辺に住んでいる、イソヒヨドリあるいはヒヨドリに食べられてしまいました。
いかがでしたでしょうか?
「気持ち悪い・・・」というよりも、「何だろう?」「変わっているなぁ・・・」と好奇心をわかせるのが昆虫だと思います。
八丈島では、本土や都市ではなかなか見られない昆虫が身近に見られます。
昆虫を見るために、八丈島に来られるお客様もいらっしゃいますし、一般の方々だけでなく、私の知り合いの昆虫の研究者も、ナナフシに夢中になっていました。
機会がありましたら、八丈島の昆虫もお楽しみくださいね
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