ある記事の日本語から英語への翻訳を頼まれました

自由研究

私は、今でも、アメリカの先生とは定期的にe-mailでやり取りをしています。

研究者を辞めて5年が経ちました。先生は、私が研究者を辞めたことを今でも悲しんでいるみたいです。

私は、先生が期待していたのとは全く違う人生を歩んでいますからね・・・

そんな先生から、ある日、頼まれごとがありました。


今日は、「ある記事の日本語から英語への翻訳を頼まれました」と題してのお話です。


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日本語の自由度は高すぎる

1991年4月3日の毎日新聞に掲載されたある記事の日本語から英語への翻訳を、アメリカの先生から頼まれました。

ここでは、その記事のインタビューの一文だけ引用します。

ブラジルでは、大学を卒業して研究を進めるのに、英国や米国に行くケースが多いが、ブラジルにも多い日本人がまじめなことや、研究の面で同じに扱ってくれる方が、言葉の点では大変だが、いいと思った。周りの人は反対したけれど。

1991年4月3日の毎日新聞

日本人には、この文を読んで一瞬で意味がわかりますね。でも、この文を英語に翻訳するのは、かなり大変です。

英語は、主語、動詞、名詞、数、形容詞、時制などガチガチの言語です。ところが、日本語は、これらは曖昧です。

誰が、何をしたか、など、省略された文はたくさんありますね

ですので、この日本語の1文を英語のルールに則った短い文に書き直し、それから翻訳の作業に入りました。この引用の1文では、3つの意味に分けられますので、英語では3文に分けました。


一番目の文

「ブラジルでは、大学を卒業して研究を進めるのに、英国や米国に行くケースが多いが、」

Many Brazilian scientists go to the US or the UK for their further study.

この文では私は、「進める」を「もっと」という意味でfurther、「研究」をstudyと訳しました。studyと単数形にしたのは、研究者の生涯の大きな研究テーマを1つと考えたからです。

つまり、私は、一般的な視点として、ブラジルの科学者の進路を記載しました。

アメリカの先生は、私の翻訳をさらに下記のように訳しました。

Many Brazilian scientists go to the US or the UK for their graduate studies.

graduateとは「大学院」の意味が含まれています。studiesは複数形なので「いろいろな研究」という意味ですね。

こちらは、インタビューを受けた人の視点です。

両者ともどちらも正しい翻訳ですね


二番目の文

「ブラジルにも多い日本人がまじめなことや、研究の面で同じに扱ってくれる方が、(言葉の点では大変だが、)いいと思った。」

However, I decided to go to Japan because Japanese people shows great diligence and fairness not only in daily life but also in science.

私は、インタビューを受けた外国の方の決意を表現するために、「決める」という意味のdecideを選び、過去に起きたことなのでdecidedを選択しました。

そして、インタビューされている人の国では自明の意味と判断して、because以降の文を付け足し、現在形の時制を選択しました。

ここで、少し難しい単語がありますね。diligencefairnessです。

これらの単語のコンビは、まじめと近い意味の「勤勉」を意味するdiligenceの単語をgoogleで検索し、対となる単語としてfairnessが出てきましたので、それらを使う文を見つけ、そのあと、該当する単語を挿入していきました。

つまり、英文を全くのゼロから書いているわけではないのです

英語圏では、使われる単語の文中における位置は決まっています。ですので、google検索をして、1単語1単語あてはまる場所を探します。

ただそれだけで、英語圏の人は普通の文として認識してくれます。

ちなみに、先生は私の英語をさらにこのように修正しました。

However, I decided to come to Japan to experience the great diligence and fairness of the Japanese people not only in daily life but also in science.

インタビューをされている人が日本にいる場合は「来る」という意味でcome、そして、日本人の特性を日本で「経験する」という意味でexperienceと書いたみたいですね。

この違いは、私(第三者)視点とインタビューされている当事者視点の違いから生まれています


三番目の文

「言葉の点では大変だが、(いいと思った。)周りの人は反対したけれど。」

Of course, it was very difficult for me to learn Japanese language.

ここでは、「周りの人は反対したけれど。」の箇所が、意味がある箇所であれば訳すのですが、ネガティブ要素でしたので意図的に翻訳はしませんでした。

その代わり、大変さの意味を、of courseに入れました。

ここからは私の意図になりますが、「日本語」はJapaneseでOKです。しかし、「日本人」もJapaneseです。

そこで再びgoogle検索です。「日本語」のJapaneseを英語圏の人に理解されやすくするために、より直接的な日本語としてJapanese languageを選択しました。

この翻訳ではstudyは「研究」の意味として使われています。study Japanese languageと翻訳してしまいますと、「日本語を研究する」と間違えて読まれてしまう可能性があります。

そこでgoogle検索です。そうしますと、learn Japanese languageが出てきました。


3文をまとめますと、以下のような翻訳となります。

「ブラジルでは、大学を卒業して研究を進めるのに、英国や米国に行くケースが多いが、ブラジルにも多い日本人がまじめなことや、研究の面で同じに扱ってくれる方が、言葉の点では大変だが、いいと思った。周りの人は反対したけれど。」

“Many Brazilian scientists go to the US or the UK for their graduate studies. However, I decided to come to Japan to experience the great diligence and fairness of the Japanese people not only in daily life but also in science. Of course, it was very difficult for me to learn Japanese language.” 

翻訳するコツは、以下のとおりです。

  1. はじめに、英語圏の人に分かりやすい文章にするために、日本語の文を英文のルールに則った短い文に分けます。
  2. インタビューされている人の国や文化を考えながら根拠を持って文の中に単語を入れていきます。
  3. ときおり、google検索をして、翻訳した単語が使われている英文と見比べて、適切に使用されているかチェックをします。

短い分ですがけっこう時間がかかります。ですが、これを繰り返すことによって、本物の英文と触れる機会が増え、おかしな英語はすぐに気づくようになります。

実は、このようなやり方で、私は、1文1文の英文を重ねて、英語の論文を書いていました。

英語って大変!

まったくそのとおりですね

一朝一夕では上達しません

やはり、継続でしょうね

でも、英文が読める、英文が書けるようになりますと、より深く情報を得ることが出来ますし、楽しさも増します。

日本の文章を日本語から英語に翻訳する機会がありましたら、こんな感じで翻訳しますと、英語圏の方が読んでも分かりやすい文章が書けるようになると思います。

ぜひ、お試しください


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