私は、約30年間の起きている時間のほとんどを研究室で過ごしてきました。読むのも書くのも、ほとんどは英語の論文でした。
八丈島に来て4年、実は、今日から5年目に突入します。この4年間、研究室の外の方々と出会い、いろいろな日本語に接してきました。
今日は、「日本語の曖昧さに気をつけて下さい」と題してのお話です。
友達同士ならば、曖昧な会話でも大丈夫
私が岩手県に住んでいた時、となりの青森県は異世界でした。
県境を越えますと、話し言葉が、津軽弁に変わります
「わ」=「私」、「く?」=「食べますか?」などなど。
別の土地の人には理解は難しいものの、青森県出身の友達同士では言葉省略されても十分なコミュニケーションとなります。
言葉だけでなく、お互いの友達同士の信頼関係ができているからです
「相手にわかりやすく説明する」を「良し」とする風潮
私はYouTubeからも情報を得ることもあるのですが、よく、「相手にわかりやすく説明する」というフレーズを耳にします。
もちろん、「わかりやすい」というのは良いことなのですが、科学的に判断しなければならないことを「わかりやすく」説明するとはどういうことでしょうか?
例え話をしたり、文章を簡略化したり、数字を省いた説明でしょうか
日本語でよく使われる、主語の省略やすり替えに気をつけて
わかりやすく説明するためには、本当は、主語、形容詞、目的語、副詞、述語、それに客観的な説明をするための数字は必須です。でも、色々な日本語をよ〜く見ていますと、主語が別のものにすり替わったりします。
たとえばの下記の1文。
〇〇さんは、都心から車を八丈島へ輸送しました。
これは、間違いようがないですね。「〇〇さん」の主語が無くなっても、目の前に〇〇さんがいればわかりますね。
ところが、Facebookのように
△△さん
〇〇さんは、都心から車を八丈島へ輸送しました。
これはOK。主語が〇〇さんであることがわかりますね。
でも、日本語の習性として、いつものように主語を除いたらどうなるでしょうか?
△△さん
都心から車を八丈島へ輸送しました。
車は、「誰が」八丈島へ輸送しましたか?△△さんがやったように見えますよね。
このようなすり替えは、よ〜く見ているとFacebookでは、けっこうやられています。
友達同士ならば良いのですが、仕事など客観的に判断しなければならない文では、このようなテクニックを使ってはダメですよね。
わかりやすく説明するといって、急に数字を出したときは注意して聞きましょう
わかりやすく説明するためには、数字は抜いた方がいいといわれています。算数嫌いが大人になっても残っている人もいますからね。
ところが、難しそうに思える研究でさえも、多くの場合、加減乗除が主に使われるだけです。
私が運営する小学生対象の科学クラブで、高度な算数を求めないのは、私の研究者としての経験からです。
それに、私は平気で計算を間違いますしね(笑)
数字の話に戻ります。□□の説明会のときに限って、突然わかりやすい数字を見せて説明してくれますね。
でも、そういうときは必ず裏があると思ってください。鵜呑みにせず、小学4年生に自分をもどして、頭の中で算数をしてみてください。
多くの場合は、これで数字のトリックを見抜けるはずです
私は、研究者時代は論文のレフリーもけっこうやりました。査読前の論文では、読者を騙そうとすることが、実は多いです。
あれ、この数字、何かおかしくない?
なんてことは、ザラです(笑)。そのときは、私はいつも小学4年生にもどって計算をします。
友達同士の会話ではない、説明会では色々なひっかけがあります。日本語の曖昧さの性質を利用して、丸め込もうとするテクニックがよく使われます。
これが英語だと、主語、形容詞、目的語、副詞、述語、それに客観的な説明をするための数字とガチガチなので、「ひっかけ」がとても難しくなります。
残念ながら、私も含めこのブログを読んでいただいている方々は日本人です。私たちは、常にこの日本語の曖昧さの危険性に気をつけなければいけませんね。
私も日本語の曖昧さを勉強している最中です
いっしょに騙されないように気をつけましょうね