最近は、依頼があった建物と自分のところと、対処のあと、アシジロヒラフシアリがどうしているか気になって気になって仕方がありません。1日1回以上のパトロールが日課になってしまいました。
童心に帰ったみたいです(笑)
以前、薄めた中性洗剤をスプレーし、アリの頭数を減らし、道しるべフェロモンの濃度を下げることによって、建物内にアリが入るのを防いだ話をしました。
でも、どうして薄めた洗剤をスプレーするだけでアリを駆除できるのでしょうか?
今日は、「アリは水で薄めた中性洗剤で駆除できるけれど、どうして?」と題してのお話です。
1つは、洗剤ですので、道しるべフェロモンを洗い流す効果があります。
もう1つはアリの体への影響です。
アリの体の構造を見てみましょう。生き物である以上、酸素が必要です。
アリも例外ではありません。
では、アリは、酸素はどこから取り入れるでしょうか?
人と同じで、口と鼻からだと思います
アリは、口はありますが、鼻はないですね
実はお腹です
えっ、そうなんですか!?
厳密には、アリのお腹の側面に空気を取り入れる穴を使っています。「気門」といいます。
気門の体内側には気管という空気が通る管が繋がっています。その管はずっと各臓器まで伸びて、末端でガス交換という形で酸素を臓器へ提供しています。
へ~
そうなんですか
薄めた洗剤のアリの体への効果は、気門と関係しています。
アリの体は長鎖の炭化水素で覆われています。疎水性(水を弾く)の性質があることから、仮に、水をかけても弾きます。ですので、少々の水では、気門は塞がらず、アリは呼吸できます。
ところが、水に洗剤が混ざるとどうでしょうか?洗剤には界面活性剤が入っています。
界面活性剤は、疎水性の物質と親水性の物質をつなぐ働きがある物質ですね。ですので、界面活性剤は、アリの体表の炭化水素と水の両方をつけることができます。
つまり、洗剤入りの水をアリにスプレーすると、気門は水で覆われて窒息がおきます。このために、アリは死んでしまうのです。
ネットでは中性洗剤:水を1:2の割合で希釈するといいと書かれてありました。でも、もっと薄めてもいいように思います。
私は中性洗剤を1,000倍以上で希釈しています。アシジロヒラフシアリに対しては、なんとかなっています。
ところが、いろいろ試してみると、アシジロヒラフシアリは簡単に死ぬのに、ヒメアリはしばらく動けることがわかりました。種によって洗剤の効果的な濃度は違うようです。
中性洗剤は、たとえいらなくなったものを使ったとしても、高いので節約したいですね。
効果的な量を知るために、分量を変えて実験しても、自由研究みたいで面白いですね。
あなたもいかがですか?今年の夏の自由研究に(笑)。