八丈島は野草がたくさんの種類が生息していて、ほぼ一年中楽しめます。私を含めて野草観察初心者は、毎日が発見です。
ときどき、私はいろいろ知っている方と散策することもあるのですが、その中でランについて話題が出ました。
八丈島に来る前のちょっと前の昔のお話です。
今日は山でひっそりと咲くランのお話です。
私のような植物観察のレベルですと、ランと聞いてあまりイメージが湧きません。
植物の1種?
くらいの感覚です。
植物散策の上級者の方は、ランについて分類もさることながら、盗掘問題のお話も合わせて解説していただけました。
ランってどんな植物?
と思う方々もいらっしゃると思いますので、私の持っている数少ないランの写真を載せます。ちなみに、撮影場所は、八丈島ではなく、本土です。
上から順にエビネ、キリシマエビネです。エビネとキリシマエビネはラン科エビネ属に分類されます。花びらが独特の形をしていて、さらに、1本の茎にたくさん花をつけます。
ラン好きな方が生まれるのもわかる気がしますね
とてもきれいです
その度がすぎると、連れて行ってしまう方も出てきてしまいます。
これは盗掘といって、現在では違法行為になっています。
一時期は、乱獲で様々なランが絶滅危機に瀕するようになったそうです。
たとえ、万が一ランを見つけても、場所は公表しないようにしてね
いい人ばかりではないので、これも仕方のないルールです
と教わりました。
さて、ランは種によってはものすごくわがままです。土壌、湿度、温度、光などの条件が厳密に合わないと、きれいな花をつけてくれません。逆にそうでないと、山はすべてランで覆い尽くされてしまいますね。
実際、私が見た2種のランもそれぞれ、限られた場所に生えていました。花をつける条件が厳しいとなると、やはり、時期になったら会いに行くというのが一番いい接し方だと思いました。
八丈島でも本土の山でも林道で散策すると、きれいな植物と出会います。
一瞬を楽しむために連れて帰ることは、簡単だと思います。しかし、それでは、その植物との関係はその年で終わりです。それよりも、その植物と長期にわたり接することで、自身が知らなかったことを毎年深める方がより価値があると私は思います。
こぼれ話
野生ではありませんが、ラン科シュンラン属のキンリョウヘンは面白い性質があります。
このランは、ニホンミツバチの女王フェロモンと極めて類似した組成の匂い物質を放出します。
一年に一回、ニホンミツバチは分蜂(ぶんぽう)します。何もしないと、新たに別れた群れはそのまま山へ行ってしまいます。
ところが、キンリョウヘンをおいておくと、別れた群れはキンリョウヘンからの匂い物質群を女王フェロモンとして認識し、集まります。ニホンミツバチ農家はこの性質を利用して、新たな群れを手懐けます。
これは私の友達の研究者の仕事です。興味がありましたら、ぜひ読んでみてください。