私は野鳥の写真を撮りますが、兎にも角にも双眼鏡での観察が一番最初です。

何も知らないと良いシーンが撮影できないですからね
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とは言いましても、双眼鏡片手に自分が見たい全てのシーンを見られるわけではありません。
フィールドの経験であったり、特別な個体との出会いであったり、そして、運も大切だったりします。
そんな中、私は3月に貴重な出会いをしていました。
今日は、「2024年春、東京都八丈島の繁殖期のキジのオスの行動を観察していました」と題してのお話です。
距離のとり方がおかしいキジのオスとの出会い
私が初めてキジを見たのは、バードウォッチングを本格的に始めた大学1年生の時でした。
サークルの先輩がフィールドスコープに遠くのキジのオスを入れていただき、そっと見させてもらいました。キジは私たちに気づかず、反対側をずっと眺めていました。

声を潜めて観察したあのときの経験は忘れられませんね
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本来、キジは警戒心が高い野鳥です。人に気が付きますと、すぐに走り去るか飛び去ってしまいます。

当時は写真を撮っても「点」でした(笑)
キジの撮影の難しさは今でも同じです。
ところが、2025年3月、私との距離のとり方がおかしい個体と出会いました。

EOS R3+Mount Adaptor EF-EOS R+EF600mm F4L IS II USM
キジのオスの方が近づいてきた
野鳥写真は、被写体の野鳥を怖がらせて逃げられましたら全てが終わりです。人の怖さを学習した野鳥は、次回からは距離をとるようになってしまいます。

ですので、1対1になった瞬間、脅かすことになりますので撮る側は動いてはいけないのです
ところが、このキジは動けなくなった私に対して近づいてきました。ゆっくりと歩いてきて、試されているようでした。
息が詰まるような対面ですが、下手に動いたら終わりです。近くに来たキジを脅かさないように撮影し、歩き去るまでじっとしていました。

EOS 7D Mark II+EF600mm F4L IS II USM+EXTENDER EF1.4xIII
キジのオスの仕事
キジのオスがここまで私を試すには理由がありました。どうも、このフィールドをとても気に入ったようです。
人が入ったとしてもそれを我慢してまでも居続けたいと思っているようでした。
キジのオスはこのなわばりを常にパトロールしていました。そして、定期的にさえずりをし、なわばりの主張を続けました。

EOS R3+Mount Adaptor EF-EOS R+EF600mm F4L IS II USM+EXTENDER EF1.4xIII
命がけでなわばりを守る
キジのオスは派手な見た目、体も大きいです。そのため、猛禽や肉食動物の標的となりやすいです。
キジのオスは何が何でもこのなわばりを守りたいと思っているようです。餌、隠れ場所、規模とも最適なのでしょう。
観察をしていますと、ネコがキジのオスを狙っていました。キジのオスはネコの存在に気づいており、標的をわざと買って出ていました。
首を高い位置に保ち、短く声を発していたことから、警戒音を誰かに伝えているようでした。

EOS R3+Mount Adaptor EF-EOS R+EF600mm F4L IS II USM+EXTENDER EF1.4xIII
なわばりにメスが来た
4月になり、八丈島では樹木や草から新芽や花が出てくるようになりました。草丈が高くなってきましたので、キジのオスが見えにくくなってきました。

キジのオスは、なわばりがこのように変化するのを狙っていたようです
キジのオスは私が近くにいるのに動きが鈍く、ヤハズエンドウ(カラスノエンドウ)の群生の中に留まっていました。

EOS 7D Mark II+EF600mm F4L IS II USM+EXTENDER EF1.4xIII

いくら何でもこれは変だよなぁ・・・
ず~っと観察していましたら、オスの近くでヤハズエンドウが動きました。群生から顔を出したのはメスでした。

EOS 7D Mark II+EF600mm F4L IS II USM+EXTENDER EF1.4xIII
写真は撮れませんでしたが、メスが初めてなわばりに入ったとき、オスはメスに対してディスプレイをしました。
ここまでくるのにキジのオスは1ヶ月頑張り続けました。
キジは一夫多妻制。このオスは今後移動するのか、それとも、新しいメスの方が入ってくるのか分かりません。
あるいは八丈島のキジの羽数が少ないのでこのまま一夫一妻で終わるのかも知れません。もうしばらく、このキジのオスは目が離せませんね。

EOS R3+Mount Adaptor EF-EOS R+EF600mm F4L IS II USM+EXTENDER EF1.4xIII
今日は、「2024年春、東京都八丈島の繁殖期のキジのオスの行動を観察していました」と題してのお話でした。
2025年3月から4月まで、キジのオスのなわばり形成からメス獲得までの過程を観察しました。
私にとって、キジは警戒心が強いので苦手な野鳥です。繁殖期は終わりではありませんので、もうしばらく観察を続けようと思います。
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