八丈島に来てから撮影して残っている写真の数は17万枚。その数は今も増えています。
人それぞれ写真の撮り方があります。私の場合は、自身が生きていたことが写真として記録として残るように撮っています。
今、私は八丈島に生きています。ですので、よ~く見ますと、写真の中に撮影場所が「八丈島」であることが分かるように撮影しています。
今日は、「私は色々な要素が含まれている写真を撮影するようにしています」と題してのお話です。
スカシユリ
野鳥写真を中心に撮影してきた私。八丈島に来た当初は植物には全く興味を示しませんでした。

本当に損していましたね(苦笑)
ただ、毎日歩いていますと、八丈島にも季節があるように周りの景色が変わっていきます。そんなとき、足元に大きくて派手な花に目が留まりました。

すごいな・・・
これ・・・
それが、八丈島での私とスカシユリの初めての出会いでした。
八丈島ではスカシユリは群生を形成しています。この出会いを私はどう表現したらいいのか、毎回考えています。

6月の「八丈島」の光り
6月の八丈島は、基本、曇り、霧、雨です。晴れの日の直射日光はありません。
ですので、今日の「八丈島」を表現するのは、曇りの光が嘘偽りのないものとなります。

EOS 6D Mark II+70mm F2.8 DG MACRO Art
時間が止まった写真の中に未来を含んだ時間の流れを入れる
私は、フィールドで見られたスカシユリの中から1輪を選びました。
花の写真ですので、もちろん花は咲いています。私が注目したのは花の右側にある蕾でした。
色から分かるように、花の次に一番右側の蕾が次に咲き、最後に真ん中の緑色の蕾が咲きます。
写真は時間が止まっていますが、花、次の蕾、その次の蕾を入れることで、未来を含んだ時間の流れを入れました。

EOS 6D Mark II+70mm F2.8 DG MACRO Art
写真撮影の条件を振る
私は、現役の研究者時代のPCRによるcDNAクローニングのとき、一見不可能と思えるものも増幅に成功してきました。たくさんの実験条件を含めていたのが成功の秘訣でした。
これは今でも同じようなことをしています。カメラとレンズを三脚に固定した後は、考えられるすべての撮影条件を試します。
答えは予想できていましたが、取りこぼしがないよう、今回のスカシユリの写真では17通りの条件で撮影しました。

レンズの条件
私は焦点距離50 mm、70 mm、100 mmのマクロレンズを持っています。
スカシユリは大きな花です。被写界深度の浅い焦点距離100 mmマクロレンズは撮影には不向きです。
一方、被写界深度の深い焦点距離50 mmのマクロレンズを使いますと、スカシユリの背景にあるマルバアキグミの葉がハッキリ写ってしまいます。
選んだのはSIGMAの70mm F2.8 DG MACRO Art。このレンズは焦点距離50 mmの標準マクロレンズと焦点距離100-90 mm望遠マクロレンズの両方の特徴を持っており、今回の撮影目的に合っています。
また、上記で様々な条件を試した中に、絞り値があります。
学術写真のようにキッチリとピントを合わすときはF16を、女性のポートレートのように被写体だけピントを合わし背景をぼかすときはF2.8(開放)を選びます。


両者は絞り値の条件が極端すぎですね。でも、この間に求める絞り値があります。
私は被写体のスカシユリの花にピントが合い、茎と葉は少しぼかし、背景のマルバアキグミはわからない程度に薄っすらとぼかす条件のF5.6を選びました。
6月の八丈島の光りを含み、花から蕾までの時間の流れを含み、被写体のスカシユリにピントが合い、背景は薄っすらとぼかす写真となりました。
ぱっと見分かりませんが、よく見ると「八丈島」のスカシユリの写真になっているのが分かりますよね。
私は誰が見ても分かる写真よりも、

よ~く見るとなんか混ざっている・・・
というように、色々な要素を入れ込んだ写真の方が好きです。

EOS 6D Mark II+70mm F2.8 DG MACRO Art
今日は、「私は色々な要素が含まれている写真を撮影するようにしています」と題してのお話でした。
今日であったスカシユリを例に、「八丈島」の花を撮影しているとき何を考えているのかのお話でした。
八丈島は、奥深く、すべてを撮影するのは難しいですね。

時間がいくらあっても足りません
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