私は副業で自然ガイドをしています。そして、本業は子供たち対象の科学教育です。
科学教育といいますと、あなたはどのようなことを連想するでしょうか?
試験管で抽出実験でしょうか?
pH試験紙を使ったpHの測定でしょうか?
生き物からDNAの抽出でしょうか?
- 実験の原理を学び
- 操作を学び
- 結果を得る
- 結果を考察する
科学的思考センスが磨かれそうですね。でも、それって本当でしょうか?
今日は、「「ドキドキ」や「ワクワク」という言葉がもてはやされていますが、あなたはそれで満足ですか?」と題してのお話です。
「ドキドキ」や「ワクワク」という言葉
私の本業では様々なスタッフがいらっしゃいます。私は研究に特化していますが、会社というのは私ができない様々な専門性を持った方々がいらっしゃいます。
それらの方々とお話ししますと、言葉というのは色々な情報を伝達できるのだと学びました。
そんな中、最近の科学教育を含む教育では「ドキドキ」や「ワクワク」という言葉がよく使われていることを知りました。お父さんお母さんに対し、子供のころ、
- 新しいことを見つけてドキドキしましたか?
- 変化を見てワクワクしましたか?
という問いです。
ああ、そうそう
そうだった
そうだ、子供たちに教えなきゃ・・・
なんて声が聞こえそうですね。
私は研究で「ドキドキ」や「ワクワク」を経験しませんでした
アメリカにいる研究者友達が日本に帰ってきたとき、「ドキドキ」や「ワクワク」の日本の科学教育の風潮について話題になりました。
私は研究をビジネスでやっていました。30年間のキャリアで「ドキドキ」や「ワクワク」は経験したことがありませんでした。
研究が大好きな友達も
それはないね
と言っていました。
では、私の場合、何もなかったわけではありません。私も前人未到の研究成果を何度か達成しましたが、あのときは体の中心から激しく燃えるような感情の爆発がありました。
それはわかる
そう、本当の研究での成功は、「ドキドキ」や「ワクワク」という甘い言葉で表現できるものではないのです。私は、「ドキドキ」や「ワクワク」という言葉は流行であり、研究をやったことのない人の想像の言葉ではないかと疑っています。
八丈サイエンスクラブで実際に起きたこと
私は八丈サイエンスクラブを運営しています。私は「前人未到」が好きなので、答えが分かっていないことしかやりません。
実験しているとき、ある子供さんが泣いていました。
どうしたの?
できると思っていることが、自分の力不足でできない
それが悔しくて仕方がない!
手で涙を拭いながら私に訴えてきました。小学生だけでなく、実は、これはプロの研究者でも起きます。
ベストを尽くしても、自身の実力が追いついていないために、できるはずのことができないのです。
ここで彼は何を学んでいるでしょうか?
実験方法?
科学的思考?
もちろんこれらも大切です。
でも、もっと大切なのは未知の探求研究を通して、壁にぶつかり人として成長することです。昔はこれを研究教育とよんでいました。
研究で全力を尽くし、その貴重な機会から自身が学ぶことです
お父さん、お母さんが若かったころの喜びは、本当は「ドキドキ」や「ワクワク」ではなかったでしょ?
勉強でも、スポーツでも、音楽でも、絵画でも、大人の人は人生のうちで必ず全力を尽くしたことがあるはずです。現在進行形の方もいらっしゃるでしょう。
そのときを本気で思い出してみてください。本当は「ドキドキ」や「ワクワク」ではなく、私たち研究者と同じように体の中心から激しく燃えるような感情の爆発があったはずです。
そういえば・・・
確かに・・・
体の中心から激しく燃えるような感情の爆発というこの感情はどのような人生を歩んでも、どのような職業に就いても必要なはずです。私は科学教育でこれを子供たちに与えたいと思っています。
そのために、八丈サイエンスクラブは未知のことしか研究をしません
みなさんも、流行の言葉に騙されず、ご自身の貴重な経験を次世代に伝えてはいかがでしょうか?