PCR、PCRと連呼されているけれど、本当はどういう人に対して必要なの?

その他

私は、2007年に日本に帰国してから、テレビを購入しなかったため、テレビはほとんど見ていません。ですので、テレビ、特にワイドショーやニュースで報道されているようなことは知りませんでした。

今年の3月、知り合いの家に泊まって朝のワイドショーを見ました。テレビのコメンテーターはひたすらPCR検査の話を連呼していました。

そうですよね!

テレビでいっているから、今すぐPCR検査しなければだめですよね

ちょっと待ってください

そのテレビの情報、おかしいですよ


今日は、「PCR、PCRと連呼されているけれど、本当はどういう人に対して必要なの?」と題してのお話です。


PCR(Polymerase Chain Reaction)法は、私の書いてきた論文には必ず出てきました。今の分子生物学手法では当たり前の技術です。

ちなみに、テレビで報道されているのは、正式にはReal-Time PCR法あるいはqPCR法といって、特定のDNAの塩基配列を増幅して定量する方法です。

テレビで報道されていることで疑わしいこともありました。「PCR法は2~3割はあてにならない」ということです。

それが本当ならば、PCR法を使った論文の2~3割は疑わしい結果をだしていることになりますね

えっ

論文ってそんないい加減なんですか?

いいえ、PCR法を使えば、結果はほぼ100%出ます

「2~3割の疑わしい結果はなぜ出るのか」に理由を説明した記事を読みましたが、「PCR法に直接の原因があるということを明らかにした記載」はありませんでした

そうですよね

PCRは確実だから、PCRしにいかなきゃ

待ってください

PCR検査は、これまでと同様に、保健所、病院で選別された人のみするべきです。以下はその理由です。


これはたとえ話です。

ある病院でPCR検査(厳密にはサンプリングです。)をすることになりました。その村だけでなく、町、市、はたまた県外からも人が殺到しました。

病院にはたくさんの人(青い人は非感染者)が集まっていますね。実は、この集団の中に本当に感染してしまった重症患者が1人含まれていました(赤い人)。

その人の周辺の人は感染します(ピンクの人)。10人の人が感染してしまいました。

ここでニュースを思い出して欲しいのですが、これまでの閉鎖空間で感染した人、全員が重症化しましたか?

確か、全員はなっていなかったと思います

そうですね

今集まっているデータでは、10人感染するとそのうち2人重症化するそうです。するとこうなります。

ピンクの10人のうち、2人は重症化してしまいます。

もし、保健所や病院の指示通り、選ばれた人だけが検査すれば、この2人は感染して重症化はしませんでした。もちろん、この2人には家族もあるでしょう。そうすると、感染はどんどん広がります。


でも、感染が発覚して、とても怖いんですけれども

先ほどの図をもう一度見ましょう

10人のピンクの人は2人は赤色の人になりました

残り8人はどうなりましたか?

紺色に変わっています

8人は重症化せずに、回復する場合があります

この8人は確かにPCR検査で感染が確認されましたが、回復すれば感染拡大には関与しません。

それから、この人たちは社会に対して大きな役割ができます。感染したということは体の中に抗体ができたということです。

この8人は、回復すると変異ウイルスが来ない限り、もう感染しません。仮に身近な人が感染しても、社会に対しては、感染を広げないような役割を果たします。

今後、日本社会は、この集団免疫の戦略でウイルスにゆっくりと対抗するのではないかと思います。


さて、直接的なウイルスの対策はどうするのかですが、これは今までと同じだと思います。

3密を避けた状態で、感染者が出ました。問合せの結果、この人だけPCR検査をし、隔離と判断されました。

でも、不幸にも身近な人に感染させてしまいました。この人も、問い合わせの結果、PCR検査をし隔離と判断されました。

でも、治療の結果、重症化しなければ、紺色の人に変わります。この人は抗体をもっているので、今後は感染拡大には関与しません。

新たに感染した人も重症化しなければ同じです。

これから先、社会における紺色の人の数は、時間をかけてゆっくりと増えていくと予想されます。


それでは、重症化した場合はどうでしょうか

当然、こちらも隔離して治療です


日本でウイルスが拡大しはじめてから9ヶ月経ちました。残念ながら、今をもってしても、誰が重症化してしまうのかは正確には不明です。

しかし、初期の頃と変わらず、重症化した患者を拾い上げ、非重症化患者は隔離して回復させるこの方法が、社会としてはベストです。病院に余裕があれば、冷静に、適切な選択の治療ができるからです。

でも、無差別のPCR検査をしてしまえば、感染者数を指数関数的に増加させてしまいます。それでは、医療はすぐにパンクしてしまいます。

ですので、初めに戻りますが、なんでもかんでも「PCR」はダメなのです。


でも、これだと、時間がかかると思うのですが・・・

その通りですね

その代わり、時間がかかる分、薬の改善、ワクチンの開発、治療方法の最適化ができます


ここ八丈島では、島民は家族や自身の周辺の方々に感染しないよう、マスク着用、手の消毒や三密を避ける行動をしています。科学的には証明はされていないものの、これまでに、八丈島では、恐れられている感染爆発は一度も起きていません。

経験的には正しい手法ということです。それは、八丈島の島民、医療機関、行政の努力の賜物です。

さらに、八丈町の防災無線でも「マスク着用、手の消毒、3密を避ける新しい生活様式」を繰り返し放送し、島民に対して、注意喚起を繰り返し続けています。

私は、八丈町は社会としてはうまくウイルスに対処していると思っています。今後も、島民が疑わしい情報に流されてパニックにならないことを願っています。

八丈島のような離島は医療はとても脆弱です。八丈島にいらっしゃるお客様も、マスク着用、手の消毒や3密を避ける新しい生活様式に参加していただき、離島で感染爆発を起こさないよう、ご協力ください。

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