八丈島に来るまでは、私は約30年間研究室で実験や論文執筆などの研究活動をしていました。そのため、研究室外の世界、社会一般などはあまり知りませんでした。
八丈島に来てからは、その生活は一変しました。一般の人だけでなく、役場、学校の先生、ガイドなど様々な人との出会いの機会が増えました。
さらに、不思議なことに、議員さんや政策秘書と思われる方々との出会いの機会もありました。
政治家さんとは一生縁のないと思っていましたが、人生何があるかわかりません
今日は、「素人目から見た、八丈島で出会った政治家の方々について」と題してのお話です。
政治家って悪い人?
政治家っていいますと、どうしても黒いつながりのイメージが浮かんできますね。TVで流れるニュースやドラマ、小説でもそのような人物が出てきますね。
もちろん、ニュースに出ていますから黒い人もいるかも知れませんが、実際、私が出会った政治家さんはどうかといいますと、そういうことはありませんでした。
黒いお金をもらっても、下記の理由のため、自身のために使う時間がないのです。ですので、余計なお金をもらう方が危険となり、はじめから、そのような黒いことは選択肢にはないみたいです。
プライベートの時間をとことん削って人と会う人
政治家さんは限られた時間の中でできるだけ多くの人と出会い、話を聞いて、政策を生み出し、社会を少しずつ改善するのが仕事です。実は、プライベートの時間をとことん削っています。
この事実を目の当たりにしたとき、自己犠牲を強いられる、大変な職業だなぁ・・・
と思いました。それぞれの政治家さんは、それぞれ目指す道、それを支える大小の目標を持っており、熱い人たちでした。
身を粉にして勉強している人
政治家の人たちは色々な言葉を使っていました。会話のときは、誰にでもわかりやすい言葉を使い、同僚の政治家や行政に携わる方々に対しては、それに対応した専門用語を使った文章を記します。
これはとても難しいことだと思います
みなさん、それぞれの生活を思い返してみて下さい。出会う人が決まっていれば、その人に通じる言葉を使います。
その中に全く新しい人が入るとどうなるでしょうか?その会話が、新しい人には伝わらないことってありますよね。
政治家の人たちは、できるだけ多くの人から意見を吸い上げるのが仕事です。新しい人に対しては、探りを入れた後、目の前の人それぞれに合わせて言葉や話の内容を変え、話し相手の心に潜んだ意見を引き出すようにします。
言葉、話の内容はどこから来るのでしょうか?話していないときは、ひたすら勉強をしています。
以前、SARS-CoV-2の検出について政治家さんと話したことがあります。言葉上ではありますが、SARS-CoV-2の核酸がRNAであること、PCRをするためには逆転写酵素でcDNAにしなければならないことなど、全部、彼自身の言葉で正しく説明されていました。
一般の人は知らないことを調べ上げていたのです。
昨日の敵は今日の友
会話の中で面白いフレーズがありました。
昨日の敵は今日の友
その意味を尋ねると、
人は、100%正しいとか、100%悪いとかありません
多くの場合、60%正しく、40%悪いとか、竹を割ったように善悪ははっきりとはなりません
ですので、たとえ仲が悪くても、良い意見を言っていたら取り入れ、それを繰り返すうちに敵は自然に友(同じ政策をともにする仲間)となって、人の力となります
と説明して下さいました。
研究では、1か0に実験結果を追い込むのが良い論文とされています。そこに追い込むまで、実験をし続けるのですが、人と人の関係は、研究とは異なり、1か0にはなりません。
言葉の力で、グレーの社会を少しずつ、白色を足しているのが、政治家さんのお仕事なのだと思いました。
八丈島に来て、一般の人だけでなく、学校の先生、役場、ガイドなど、色々な人たちと出会いました。そして、私たちの社会を少しでも良くしたいと集団の方向づけをしているが政治家さんです。
不思議な職業人と思いました。出会いに感謝です。