今のご時世で活動は休止していますが、八丈島には、子供たちに科学教育を行う八丈サイエンスクラブというものがあります。今から5年前に、私は、
こんな歳になってしまったし、将来どうしようかなぁ・・・?
と思っていたとき、
スポーツや勉強で1番になるためには、それなりの環境が必要です
でも、様々な要因が絡まる科学ならば、離島という教育に厳しい環境といわれている八丈島であっても、子供たちに大きな成果を達成させ、大きな経験をさせることができるかも知れません
八丈島へ誘ってくださった人は、熱意をもって私に語りました。
私は、お金で自分の人生の方向性を決めていません。それでしたら、そもそも長時間労働の研究者なんて職業に選ばないですよね(笑)。
残りの人生を八丈島で過ごしてもいいかも・・・?
という気持ちになり、その熱意に押され、
えい、やっ!
と移住を決め、八丈サイエンスクラブを運営するようになりました。その後、八丈サイエンスクラブの子供たちは活躍し、約束どおり、賞をとったわけです。
そして、昨年の春、八丈サイエンスクラブの兄弟ができました。にしなりサイエンスクラブです。
今日は、「2022年3月1日、にしなりサイエンスクラブの活動報告を聴いて」と題してのお話です。
にしなりサイエンスクラブとは
「にしなり」と聞いて、あなたはどこを連想するでしょうか?私は、専門以外は無学ですので、ピンときませんでした。
一般の人は分かる方が多いでしょう。大阪府大阪市西成区、人口11万人、そのうち生活保護を受けていらっしゃる世帯が23%の土地の「にしなり」です。
西成区は本土にあり、陸続きなのですが、隔離されています。ある意味、八丈島と同じような状況ではないでしょうか。
その西成区にあるにしなり☆こども食堂へ来る有志の子供たちの科学研究の場が、にしなりサイエンスクラブです。
八丈サイエンスクラブと全く同じことはできませんが、子供たちの生活圏で研究材料を、子供たち、講師の先生方々、そして、サポートしていただいている様々な方々と一緒になってテーマを探し出し、ある科学研究をすすめています。
大人は無意識に限界の壁をつくっている
私も大人の一人です。知らないことがあると、現役の研究者のときは、論文を検索して読みました。今でも、本であったり、ネットであったり、ですね。
研究者時代にも見かけたことですが、調べすぎるとその情報源に酔うことがあります。そう、書いている論文が引用論文と同じになっていくのです。
もちろん、論文として認められていることですから、やっていることは正しいです。ただし、そこに新規性は乏しくなります。
これが、大人の無意識につくる限界の壁です
大人の限界の壁を突破する、にしなりサイエンスクラブの子供たち
講師の先生方々も含め、私たちは子供たちの研究に関係した書物や論文を読みました。そして、子供たちは、この道を歩んでいくのだと思っていました。
講師の先生方々は、子供たちが集めた結果を、今後、研究にどう生かしていくのかを子供たちと相談していました。
結果をまとめるのには、論文ですと、グラフ、説明文が必要です。ただ、これでは、過去の大学の先生が書かれた論文と同じになってしまいます。
小学生で、ここまで出来るのだから、それはそれで素晴らしいことです。でも、「研究」ならば、過去を超えなければいけません。
昨日の講師の先生方々から伺った子供たちは、自分の見たものが、世界の誰かが見ているかも知れないと仮定してネットで検索をかけました。
この検索、通常の検索のように、分かりきったものを探しているわけではありません。ですので、大人の私たちが「検索する」のとは違います。
そうしますと、海外での報告が見つかりました。
子供たちが見ているのはただの物質です。しかし、海外では意味のある別のものとしての情報がありました。
この報告を講師の先生方々から聴いたとき、私は驚くというよりも、ぞっとしました。にしなりサイエンスクラブの子供たちが、軽々と大人の私の基準を超えてきたので・・・。
いずれ、にしなりサイエンスクラブの研究は、子供たち自身で発表するそうです
今回、にしなりサイエンスクラブの子供たちの研究について、私の口からは一切話しません。なぜなら、子供たち自身での発表を聴き、驚き、そして、多くの大人の方々にもこの感動を共有してもらいたいからです。
第三者に理解できるように研究をまとめ上げることは、大人の研究者でも難しいことです。
時間がかかるかも知れませんが、子供たちの驚くべき結果の内容を生かしつつ、子供たちの努力に加えて、講師の先生方々やサポートしていただいている様々の周囲の大人たちが補っていくことが、今回のゴール、次の研究のゴール、そして、彼らの後輩へ見せる手本のゴールへとつながると思います。
今後の、にしなりサイエンスクラブの子供たちの発表が、とても楽しみです