今の仕事はとにもかくにも結果を出すことが目的です。これまで、フィールドワークが中心でしたが、デスクワーク中心の仕事になりました。
都心に来てから、仕事、休憩、仕事、休憩の連続です。仕事のアイディアは休憩のときに生まれます。
休憩は仕事の一部かも知れません
さて、休憩のとき、YouTubeを見ることが多くなりました。
こんなことが起きるんだ・・・
今日は、「右手にマイク、左手に地図・・・」と題してのお話です。
AZKiさんというVTuber
VTuber(バーチャルYouTuber)事務所のホロライブは、現在、1、2を争う大手です。チャンネル登録数300万人近い宝鐘マリンさんや兎田ぺこらさんを筆頭に、チャンネル登録数100万人超えの化け物級のVTuberさんたちを多く抱えています。
AZKiさんはホロライブに所属するタレントで、今から数年前の無名だったホロライブの初期のメンバー0期生の1人です。歌を中心に活動してきたタレントさんです。
そして、今の彼女が番組を始めるときの口上が、「右手にマイク、左手に地図・・・」となっています。
AZKiさんは引退寸前まで追い込まれていた
AZKiさんにはもちろん多くのファンがついています。でも、彼女がどんなに頑張っても、あとからホロライブに入った後輩たちにどんどんチャンネル登録数が追い抜かれていきます。
全力で頑張っても結果には繋がりません。本人も、本人を支えるスタッフも、焦ります。
世知辛い話ですが、プロである以上、最終的には売上。悩み悩んだ上、さらには「引退」という文字が自身の前から後ろから右から左から、気づいたら囲まれ、追い詰められるようになっていました。
現在、VTuberは20,000人を超えるといわれています。当然、全員生き残れるわけではありません。ものすごい数の人々がネットの海に消えていきます。
AZKiさんも考えていたと思います。これまで歌しかやってこなかったからパーソナリティーのようなことはできない。でも、その歌もホロライブ内に星街すいせいさんみたいな歌唱力の塊のような人もいる。
いったいどうすればいいのか・・・?
不運だったのは、ホロライブ内の親友のときのそらさんと近い時期にデビューしたことから、ビジュアルが被らないために初期のアバターが斬新なデザインになったこと。
一生懸命創ったデザインが悪いわけではありませんが、時代に合わなかったのだと思います。私もAZKiさんの存在は知っていましたが、デザインが奇抜すぎて距離をおいていました。
もがき苦しんだ経験から生み出された歌たち
人は神様ではありません。苦しく潰れそうになったら、それが心に影響を与え、マイナス思考になってしまいます。後輩たちの成長を横目に嫉妬もあったと思います。
その葛藤を作詞作曲家の瀬名航さんと打ち合わせをしたのだと思います。歌は上手くなくても、自分の独特な声質を使って表現すると唯一無二になります。
AZKiさんは、低迷時代に「いのち」と「青い夢」をリリースします。これらの曲を特に大切にしているのは、この経験があっての今があると彼女は確信しているからだと思います。
逆転
野球で起死回生の逆転満塁ホームランが喜ばれるのは、私は人生にはそのようなものはほとんど起きないからだと思っています。
AZKiさんもきっと同じだったと思います。やることなすこと、成功に繋がらない・・・。
人は強くありません。自分だけでなく、自分を支えるスタッフも心身とも疲弊していたと思います。
このような状態が続いて耐えられる人はいません。「引退」の具体的な文字がよぎったのはそのころではないでしょうか?
ただ、少しだけ、あともう少しだけ、工夫をしました。ビジュアルをだんだんと、おとなしめにしました。
ホロライブは、アマチュア時代に配信経験を積んできたセミプロの方々の中から、伸びしろのある人をオーディションで選んでいます。そして、彼女らの饒舌なしゃべりにアバターのデザインをプラスしてタレントとして売り出します。
最近は、タレントのキャラをさらに引き出すために尖ったデザインが選ばれる傾向がありました。
この傾向の逆をAZKiさんとそのスタッフは試したのだと思います。そして、ビジュアルが少しずつ、AZKiさんの人柄と歌にマッチしていきました。
それだけではまだ未来は変わりません。ついに、彼女の評価を大きく変える偶然と出会います。
それがGeoGuessrというゲームでした。これまで奇抜なビジュアル、歌だけのパーソナリティーが不明なVTuberだったAZKiさんが、素に近い、親しみやすい姿でゲームを心から楽しむ配信がされました。
多くの人々の彼女に対する評価が変わりました。
そして、「右手にマイク、左手に地図、あなたのハートをゼロゲッサー!」という自身を表現するAZKiさんの口上が誕生しました。
AZKiさんのEP3枚目の地図に収録されている「エンドロールは終わらない」という曲があります。
エンドロールは「引退」です。AZKiさんと支えるスタッフの努力と偶然の力で、諦めていた未来は、「終わらない」に変わりました。
曲は明るいものですが、歌詞はグサッときます。
「初めて夢を描いた時からもう何年経った?」
「気付いたらみんな居なくなっていた」
AZKiさんは生き残ったけれども、2行目になっていた可能性がありました。彼女はどちらの可能性も知っている分、歌だけど重い内容です。
AZKiさんが経験したことは、言葉と立場を変えて誰にでもありえること
今回、このブログでAZKiさんのことを書いたのは、自分にも似ていると思ったからでした。もちろん、彼女は私よりもずっとずっと若いので、彼女の方がより苦しみ悩んだと思います。
私も、現役の研究者時代、国内外のたくさんの同世代や若手世代の研究者が競争で負けて消えていくのを見てきました。大の大人が、深く落ち込み、涙を流し、夢やぶれて背中を丸めて去って行きました。
私は、戦い続け、通常ではありえないくらいの年齢まで研究者として生き続けられました。
ただ、このまま研究者を続けても自分の人生にとってはプラスにならないと思いました。
研究者としての居場所は用意されていました。でも、自分で決断してドロップアウトしました。八丈島に来たのはその頃です。
八丈島に移住してから数年後、私を頼る人が出てきました。世話になった人です。恩返しの時がきました。
これまでのようなフィールドワーク中心の仕事はすべて辞めました。デスクワークのみとなりました。
そして、成功に向けて試し続けるのが今の仕事です。初めは大まかに、だんだん小さくして、最後はミリ単位に・・・。
AZKiさんの逆転劇を自分に重ね、最高の努力をして、最後は偶然との出会いに賭けます
仕事が成功するかしないかは、神様だけが結果を知っています。今は、AZKiさんの歌を聴きながら、毎日、隠れた成功へのヒントを探し続けています。
追記
2024年4月27日、リアタイしていました。
Set Listの99曲目、「エンドロールは終わらない」をうるっとしながら歌ったところで、年甲斐にもなく、もらい泣きしそうになりました。
AZKiさん、100曲耐久歌枠完走と100万人チャンネル登録達成おめでとうございます。
2024年4月30日、リアタイしていました。
「いのち(2024 ver.)」、オリジナルの「いのち」の5年の歳月の経過の変化が綴られていました。たくさんの開拓者さんたちのコメントが一斉に流れ、熱い応援の気持ちが伝わりました。