八丈島はいい天気が続いています。ですが、今日はデスクワークがありましたので、外には出られませんでした。
そんな中、八丈町では、重要な行事の初日となりました。
今日は、「2023年9月12日、東京都八丈島で町長選挙が始まりました」と題してのお話です。
任期満了にともなう町長選
私は八丈島に来てから7年目です。前回の町長選挙は無投票で決まりました。今回の町長選挙は沖山恵子氏、山下そう氏、現職の山下ともなり氏(八丈町選挙管理委員会のポスターの順番)の3人の方々が八丈町長選挙に立候補されています。
選挙公報
選挙公報は、まもなく私たちの手元に届くと思います。投票前には目を通さなければいけませんね。
次期町長になる方は政治家です。最低限、内容は正しく書くべきです。ぼかさずに、誰の仕事か主語はハッキリと書かなくてはいけません。
さて、八丈島に来てから、私は政治家の方々とも会う機会が増えました。政党も大切ですが、身近な政治家の方から面白いお話も伺いました。
例えば、政策。これから私たちは選挙公報を受け取ります。それぞれキーワードが列挙されるはずです。
多くの選挙公報で書かれているキーワードは、読者を不快にしないような当たり障りのない言葉です。
でも、候補者によっては、そのキーワードの「コピー&ペースト」ではなく、しっかりと裏を取っている方もいらっしゃるそうです。
さて、八丈島での課題は・・・
代表的なキーワードを書くと、こうでしょうか?
- 行政
- 道路の維持管理
- 台風などの防災対策
- 第一次産業(農業・漁業)、第2二次産業(インフラ)、第三次産業(サービス業)の維持
- エネルギー問題(地熱・水素アンモニアの商用サプライチェーン)
- 教育DX(DX: デジタルトランスフォーメーションと読むそうです。雑ですが、パソコンを使った教育。)
- 移住定住
- などなど
今後、町長になる方は1人の力で八丈町をより良い方向に舵を取らなければなりません。難しい仕事ですよね。
町民に対して、より良い選択に導くために「キーワード」から「具現化できる」ことが一番大切です。
それぞれの課題について、私が思うところを書きます。
行政
これは、噂でしか知りませんので書きません。
道路の維持管理と台風などの防災対策
私は本土から来た自然ガイドです。本土に住む自然が好きな人は、極端な表現ですが、「自然は自然のままでいい」といい、「土木工事は悪」という感じになります。
でも、八丈島では、道路の維持管理、台風が来たときの倒木や土砂崩れの除去など、彼らの活躍が、八丈島の生命活動に関わります。私は政治家の方に、車にのせられ、現場現場で八丈島の特有の環境を見せていただいて、本土の考え方を変えました。
東京都は無電柱化事業を進めていますね。
なんでするのだろう・・・?
と素朴に思っていました。施工は後ろの方ですが、この工事は八丈島が起点で始まったようです。
八丈サイエンスクラブ(後述)で現在風の研究をしています。参考文献の中に、1975年10月5日、台風13号によって、八丈島では55億円の被害の記載を見つけました。
年上の方に当時の様子のお話を伺いました。かなりの電柱が倒れてしまったため、一週間以上も電気が止まるという事態になったそうです。
約50年前の昔の話です。過去の八丈島の生きた経験が東京都の政策として、広がっています。
都民ファーストの会も、自民党と公明党も関係なく、八丈島では土木工事は大切です。
第一次産業(農業・漁業)、第2二次産業(インフラ)、第三次産業(サービス業)の維持
コロナのとき、八丈島を含む伊豆諸島は、被害が少なかったために、東京都の対策から切り離されそうなときがありました。でも、未知のウイルスの脅威は私たちが想像する以上に長期化しました。
そして、あのとき、東京都から支援があったのを覚えていますでしょうか?当時、町政の動き出しは遅く、島しょの他の島や他の土地の方が対策が先行していました。支援の要望は殺到していました。ところが、八丈島は町政の外側から要望が突然入り、対策のスピードが上がりました。当たり前ではないことが起きていました。
不足の事態に対応できる素早さは大切です。
エネルギー問題
「地熱発電=クリーンエネルギー」と誰もが言います。人からも企業からもききますね。言葉が独り歩きしています。
でも、本当にそうでしょうか?
地熱発電は、発電所の構造によって、アメリカ合衆国、ハワイ州、プナの地熱発電所のように火山活動が活発化して溶岩流に飲み込まれたり、一般的なものでは硫化水素の放出の問題もあります。
本当のことをいいますと、地熱発電は、「言葉」のように安全でもクリーンでもありません。言葉の裏を深く知りませんと、私たちの生活にとってプラスにはなりません。
ですので、地熱事業を推進するには、地熱開発の理解が深く、安全性を追求できる専門家との強いつながりが必要となってきます。また、事業化まで時間がかかるプロジェクトでもあります。
候補者の中には、「水素・アンモニアの商用サプライチェーン支援」という新しい言葉を使う方もいらっしゃいます。日本は、近い将来、ガソリンの消費が減ります。その代わりに、八丈島周辺にたくさんある海水から水素を生成し、燃料として使うという政策です。
水素あるいは関連化合物は危険物です。脱炭素化にともなう燃料のシフトは、現在のガス、ガソリンを扱う方々の知識と技術をそのままシフトするという、今後10年を見据えての考えのようです。
教育
これは色々な視点があります。DXの方は詳しくないため、ここでは私が見たものを書きます。
私は、勉強ができないところから這い上がり、研究者になり、国内外で研究をしてきました。
八丈島は、田舎なので学力が低く、「教育格差」という観点も低く見られているようです。でも、これを認めたら、私は自身を否定することになります。
「教育格差」という言葉は、頭のいい人が作った言葉です。そして、私が嫌いな言葉でもあります。
八丈島に科学教育を・・・
とお願いされ、私は八丈島にきました。そして、子どもたちと一緒の八丈サイエンスクラブの活動で、全国上位0.7%の評価を獲得し、「教育格差」を広めている今の風潮は間違いであることを証明して見せました。
この研究に参加された子どもたちは、当時は小学生。現在、高校生〜中学生です。今は彼らの後輩が頑張っています。
教育については、私は今後どうなるか見守っています
八丈島には、都立青島特別支援学校八丈分教室があります。「都立」ですので、八丈町にあるものの、設立のために八丈町は何もできないと思います。これは町政の外からの活動の成果です。
移住定住
現在、八丈島は「移住定住」という言葉をよく耳にします。私が八丈島に来るずっと前の2011年の東日本大震災のときに、八丈島では移住定住のために具体的な行動がありました。
移住定住の成否はなんでしょうか?綺麗な青空と碧い海の写真でしょうか?笑顔の人の交流でしょうか?
もっと初歩の初歩です
住居と仕事です
そこから、人の営みがはじまり、そこから、人との交流、余裕が出たら景色を楽しめるようになります。
移住定住は、来る側も受け入れる側も相当の覚悟が必要です。当時の様子を生きた言葉で聞かされたとき、社会における政治というものの重さを知りました。
今回の町長選では、沖山恵子氏、山下そう氏、山下ともなり氏の3人の方々が立候補されました。八丈島に対してのそれぞれの想いを持ち、よりよい町政を目指していると思います。
お店に行けば、食料品が徐々に値上がっているのが分かるように、日本社会は見えないインフレが起きています。町政の現状維持は、八丈島の没落を意味します。
研究では5年サイクルです。同じことを続けていますと、アイディアが枯渇します。
これは、当事者が悪いのではなく、誰でも起きることです。ですので、私は5年区切りで研究の戦略を変えてきました。
八丈島では、坂上と坂下の投票率は大きく異なります。坂下は数年おきに転勤で移動するため、町政に距離をおいている方もいらっしゃるでしょう。
でも、次の方が八丈島にいらっしゃることを考えますと、4年に一度の選挙はとても重要です。今八丈島に住んでいる人は、未来の八丈島の住人に責任があります。
次期町長は、失敗が怖くても、成功確率の高い政策を提案し、前に進まなければいけません。様々な産業に従事している町民もその一挙手一投足を注目しています。
ですので、私は「選挙公報」を読むのを楽しみにしています。キーワードとその裏の意味を読み取りながら、意味のある一票を投じたいと思います。
みなさまも、ぜひ熟考の上、一票を投じてくださいね